6-9 side:K ページ11
6-9 side:K
「・・・それって、二人がニャンニャンしてるところも見てていいってこと？」
「おい、二階堂！？何を・・・」
「別にいいけど」
「た、玉！？」
二階堂のとんでもない発言に期限を損ねるかと思いきや許可が出るとも思わず宮田は激しく動揺する。何度も二人の顔を見合わせていると、二階堂が声には出さず手を振り、乗っかってこい、と合図を送る。
「あ、じゃあ、その、念のためキタミツ用にメイド服とか用意していいかな」
「いいよ、似合うと思うし」
猫耳もね、と玉森はニヤッと笑って宮田を見つめる。
「なっ・・・じゃあ俺もメイド服着る！」
「せ、千ちゃんは着なくてよくない？」
「いや、着る！俺のも用意しておいて！」
一気に盛り上がる三人の姿に、玉森は満足そうな笑みを浮かべながらワイングラスを手に取った。
「土曜日が・・・本当に楽しみだよ、ミツ」
***
「うわ、凄いメールだな・・・」
「よこーさん・・・シャワーありがとう・・・」
俺はバスタオルを身体に巻き付けて、まだテーブルに座っていたよこーさんに歩み寄った。ハッとしたように俺の顔を見つめたよこーさんは、携帯電話の画面をクルッとひっくり返して立ち上がる。
「みっちゃん、じゃあお部屋はそっちだから」
着替えもそっちに用意してあるよ、と言われて俺はコクッと頷いた。そちらに足を進めようとして――今一度立ち止まって、よこーさんを見上げた。
「よこーさん・・・その、今日はいろいろありがとう」
「いいんだよ、俺もきちんと説明していなかったから」
俺はもう少し仕事して自分の部屋で寝るから、とよこーさんは微笑む。
「よこーさんはお仕事大好きなんだね？」
「んっ？お仕事というよりはお金かなって思うけど」
「・・・お金？」
「ほら、老後に向かって貯蓄しておかないと」
よこーさんの小ボケなのか分からない言葉に、俺はクスッと笑ってしまった。太輔が待ってるよ、とよこーさんに部屋の位置を示され、俺はまた頷いた。
「うん、おやすみなさい」
よこーさんに微笑み、俺は今度こそ自分が寝る部屋に向かう。自然と胸が高鳴っていくのを感じながら――ドアの前に立ち、何となくノックすると中からは藤ヶ谷の声が聴こえてくる。
「どうぞ」
ドクン、と胸が最大限に高鳴る。この扉を開いたらもう引き返せないかもしれないのに――それでも俺は藤ヶ谷に触れられる甘美な瞬間を求めているかのように、ドアを開いて中に足を踏み入れた。
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作者名：ほわわ
| 作成日時：2019年7月25日 1時
