2-5 side:K ページ9
2-5 side:K
本当に自分の迂闊さを悔いるかのように天井を見上げると、高そうなシャンデリアが瞳に映る。見渡す玉の部屋はシンプルで、今、俺達が座っている白のソファーとテーブル。真っ白で大きめなベッドくらいしか置かれていない。唯一この部屋を彩っているのは観葉植物の葉の色くらいだろうか。大切に育てられていることが、遠目からでもよく分かるくらいツヤツヤな葉っぱをしている。ふともう一度視線をベッドに向けると、よく分からない身震いが止まらなくなってしまう。車での悪戯の意味と玉に投げかけられた質問の意味を深く捉えすぎてしまっているのだろうか。俺は黙っていることがしんどくなってしまい、目の前の藤ヶ谷をもう一度見据えた。
「・・・仕事以外の話ならいい?」
「ん?ああ・・・」
携帯をいじっていた動作を止めて、少し驚いた顔で俺を見つめる藤ヶ谷に、俺は少し鼓動を跳ね上げさせながら質問する。
「・・・藤ヶ谷は・・・何の香水をつけてるの?」
「・・・えっ・・・?」
あまりに俺の質問が意外だったのか、初めて藤ヶ谷のそんなキョトンとした顔を見たような気がする。そして、唇に指をあてて何かを考えたかと思うと、今度はフッと表情を緩ませた。
「・・・ふふっ、玉に触発されたのか?」
「触発っていうか・・・その、藤ヶ谷すごい甘い香りするから・・・」
「・・・北山、手を出して」
えっ、と戸惑いながら俺は藤ヶ谷にそっと左手を伸ばした。藤ヶ谷の左手が俺の手を支え、手の甲に人差し指が立てられる。これは車の中と同じ――
――あ・て・て・み・て。
「えっ、意地悪・・・減るもんじゃないしいいだろ、それくらい・・・っ!」
すると、そのまま掬いあげられ、先ほど文字を描かれた俺の手の甲に藤ヶ谷がチュッと口づける。俺はその部分から一気に全身に熱がほとばしるのを感じた。ツーっとなぞるようにして唇が指先まで滑り、指先にもう一度キスをされると俺は思わず自分の手を引っ込めてしまった。
「やっ・・・ねぇ、さっきから藤ヶ谷も玉も・・・何で当たり前のように俺に触るの?」
「・・・そうだな、経験ないんだったな」
ごめん、と困ったように微笑む藤ヶ谷――俺はその姿に顔を赤らめて自分の胸の前に手をあてると、ドクンドクン、と心臓が高鳴っているのをより実感してしまう。
「北山・・・」
「・・・何・・・?」
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作者名:ほわわ | 作成日時:2019年5月7日 0時