5-11 side:K ページ40
5-11 side:K
「逃がさないよ、ミツ・・・今度こそ」
「や、やだっ・・・」
大人しくして、と有無を言わさずに抱きかかえあげられる。宙に身体が浮いた瞬間に、中途半端に脱がされていたズボンが床に落ちる。恥ずかしさで身を隠したくても、後ろ手に縛られていてはそれも叶わない。薬を飲まされてもいないのに何もできないなんて――昨日の夜の再現だ、と俺は瞳を固く瞑ってしまう。ベッドまで連れて行かれ、また白いシーツの上に投げ出される。
「うっ!!」
両腕に全体重がかかり、思わず俺は苦悶の呻き声を上げてしまう。玉は羽織っていたジャケットを脱いでいるようだった。
「・・・後ろ手で縛られていたら、その美しい羽根を広げることはできないよね?」
俺の天使、と俺を跨ぐようにして両膝をついて立つ玉の感情の読めない暗い瞳にただ脅えてしまう。
「さて・・・いくつか質問に答えてもらおうかな、ミツ」
「・・・っ・・・」
伸ばされた手が俺の頬に触れ、俺は思わず振り払うように顔を背けた。すぐに玉の手が俺の顎を掴みすぐに向き合わされる。
「下手に逃げようなんて思わない方がいい。この部屋にミツを閉じ込めることなんて簡単なことだから」
玉のその言葉に俺は今の自分の置かれている状況を思い知らされて、瞳に涙が浮かび始める。逃げようにもこんな状況で逃げられようはずもない。そう、誰かが助けにでも来てくれない限り――俺は、心の奥で救いを求める人の姿を思い浮かべた。
「・・・じゃあ、最初の質問。ミツは何が目的で俺に近づいたの?」
「・・・えっ・・・」
「俺と寝ることは目的じゃなかったでしょ?じゃあ何で?お金かな、それとも・・・」
玉が少しだけ顔を近づかせてくると、相変わらずその整った顔に魅入られてしまう自分がいる。拘束されてしまっていることよりも、その瞳に一番捉えられてしまっている。
「誰かに頼まれたとか」
その核心をついたかのような質問に心臓が高鳴る。顔に出してはいけない、と思いながらもどうしていいか分からない。何て回答するのが正解なのか――
「・・・沈黙は肯定なのかな、ミツ?」
「俺は・・・ただ玉と仲良くなりたいって・・・思っただけだよ」
「・・・質問を変えようか」
俺の絞りだした回答をどう受け止めたかは分からないが、不意に玉の瞳の色が変わり、少しだけ柔らかい表情になる。
「俺とミツは・・・昨日結ばれたんだよね?」
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作者名:ほわわ | 作成日時:2019年5月7日 0時