5-10 side:K ページ39
5-10 side:K
手の届きそうな距離で睨みあう二人――殴り合いでも始まったらどうしよう、と俺は固唾を呑んでしまう。
「にーかーいーどー、お前、よくもミツに・・・!」
「たーまーもーりー、お前が千賀をないがしろにするからだろ!」
「関係なくね?」
「いーや、ある!」
額をぶつけ合って言い争いを始めるその姿に戸惑いながらも、少し可愛いと思ってしまい、心の中でクスッと微笑んでしまった自分がいる。埒が明かないと思ったのか、玉は少し二階堂と距離を置き、両腕を組んで仁王立ちして見せる。
「とにかく!勝手にここに入るんじゃない!分かったか!」
「この天使ちゃんと早くニャンニャンしたいってことね・・・帰るぞ、千賀」
「ま、待って、ニカ!」
玉の横をツカツカと足早に二階堂は出口に向かって歩いていく。その様子に慌てて千賀も後をついていく。急に部屋からは賑やかさが消えたかのようだった。
「・・・悪いけど、宮田も部屋から出てくれる?」
もちろん、と宮田が一瞬俺のことを見たような気がしたが、すぐさま玉に従ってドアの外へと向かう。パタン、と閉まる音の後の静寂――玉と視線が合い、俺はビクッと身を震わせた。ゆったりと玉が歩み寄ってくると、その都度心臓が張り裂けそうになる。俺の目の前で止まった玉が、そっと俺に手を伸ばしてくる。この手に――叩かれるかもしれない、また襲われるかもしれない。駆け巡る不安に、俺はますます身を硬直させてしまった。
「・・・ミツ」
「玉・・・」
「・・・怪我はない?ごめんね・・・でもどうしても会いたかったんだ、ミツに」
俺を心配そうに見つめる瞳で玉はギュッと優しく抱きしめてくれる。昨日あんなに怖い目に遭わされたのに――それでもホッと安堵のため息をつき、時折背中を擦られたり頭を撫でられたりして緊張が解けていったのか、俺は玉に身を委ねてポロポロ涙を零してしまった。
――玉はやっぱり天使で・・・俺はその温かい羽根に包まれているかのようだった。
俺が襲われた負い目を感じているのかもしれない――目の前にいる優しい玉ならば、俺のことをきっと解放してくれるはずだと見込んで、俺は顔を上げた。
「ね、ねぇ、玉・・・腕の拘束を外してほし・・・っ!?」
「やっぱり触れる・・・ミツ。夢じゃなかった・・・!」
「玉・・・?んっ、痛い・・・!!」
ギュウッ、と突然力いっぱい抱きしめられて、俺は苦痛に顔を顰めた。
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作者名:ほわわ | 作成日時:2019年5月7日 0時