母、よこーさんの憂鬱２（玉北←藤） (ページ7)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:30,678 hit

みっちゃんの勘違い２④ side:K ページ7

みっちゃんの勘違い２④ side:K

「いや、だって、見るでしょ・・・！ミツがこんな大胆な下着を・・・！」
　玉の瞳には、俺の履いている女性ものの下着がしっかりと映っているようだった。先日購入したばかりの――ネイビーでちょっと透けが入っている下着。番組の練習中です、なんて言葉が印籠のように使えたのはよかった。プレゼントという設定ということもあり、可愛いラッピングまでされてしまい、恥ずかしさは増していった。しかも女性用の下着なんて購入したお店で試して履くこともできなかったので少しサイズ――特に前の方がきつい。
「だって・・・でも」
　玉のスカートを掴む手に力が入ったのを感じて、俺は思わずその手を抑え込んでしまった。
「や、やっぱり、ダメ・・・玉ちゃん」
「なんで？」
「だって・・・恥ずかしい・・・」
「・・・というか・・・俺に見せるために履いてくれてるんじゃないの？」
「う～それは・・・」
　その通りなんだけど、と俺は玉の言い分の正当さに思わず手に触れる力を抜いてしまった。すると、玉が遠慮なくスカートを上に持ち上げるかのように捲り、俺は恥ずかしさに耐え切れなくなり再び両手で顔を覆った。頬に触れる手が焼けつくように熱い。その指の隙間から見つめると、瞬きすることを忘れてしまったというほど、玉が俺の下着を見つめる視線が痛くてどうしたらよいか分からなくなってしまう。ちょっと自分が信じられない、と玉は自分の頬をムニッと引っ張ったようだった。
「痛い・・・夢じゃないんだ」
　ミツ、とガバッと玉に抱き締められて驚きながらも、俺はその心地よい温もりに目を細めてしまう。
「びっくりしたけど・・・たまらなく嬉しいよ、ミツ」
「玉ちゃん、本当に？」
　呆れてない？と不安げに俺が見つめると、玉は首を横に振って微笑んだ。
「・・・俺をドキッとさせようとしてくれたんでしょ？」
　可愛い、と耳元に囁かれ俺は自分の心がトキメクのを抑えきれない。
「・・・うん・・・」

――だって藤ヶ谷に大好きな玉を奪われたくない・・・！

「玉ちゃん・・・大好き・・・！」
　俺は思わず玉の腕の中に飛び込んでしまっていた。自分でも思ったより勢いがあったのか、玉とベッドに倒れこみ、その身体の上に乗りかかってしまう。ちょっとびっくりした、と微笑む玉の唇にそっと自分の唇を重ね何度も触れ合うと、俺はそっと身を起こした。

Next→⑤へ