母、よこーさんの憂鬱２（玉北←藤） (ページ3)

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動き出す、作戦本部長33 ページ3

動き出す、作戦本部長33

***

　さらに数日後――

「♪～♪～ふんふふーん♪」
「・・・何だ、玉。随分、機嫌が良さそうだな」
　俺と太輔がくつろいでいた楽屋に、裕太が鼻歌を歌いながら入ってくる。しかも小刻みにリズムまでとっており、小躍りしているようだった。
「わーかーるー？ふふふっ」
　ニヤつきを抑えきれないといった感じで、裕太は満面の笑みで微笑んでいる。
「昨日さー・・・可愛い子猫とニャンニャンしたんだけど」
「・・・っ、それがどうした！？」
「そのさー、子猫ちゃんが履いてたんだよね～女の子ものの下着」
　その発言にさすがに太輔も思わず絶句してしまったようだった。目を丸くして裕太を見つめている。
「・・・しかも、ネイビーのスケスケ」
「・・・っ！？」
「いやぁ、最高の夜だったなぁ」
　ふふふ、とニヤつきが抑えきれないように、裕太は唇を抑えて顔を赤らめている。すると、裕太の携帯の着信音が鳴った。
「あ、可愛い子猫ちゃん・・・じゃなかったミツが到着したみたいだから迎えにいかなきゃ」
　じゃあまたねー、とまるでしてやったりという顔をして、裕太はスキップしながら楽屋を出ていく。パタン、と扉が閉まると、その瞬間に太輔はソファーに仰向けにひっくり返り、足をバタバタとさせている。
「た、太輔、落ち着いて！！」
「あの純粋な北山がそんな・・・なんて羨ましいんだ、玉の奴！“北山プレミアムセーター”があれば俺がスケスケネイビーの下着を履いた北山とニャンニャンできたはずなのに・・・！！」
　それはどうだろう、と俺は引き攣った笑みを浮かべながら太輔を宥める。急にピタッと暴れるのをやめた太輔は真顔でスクッと立ち上がった。真剣に何かを思いつめたような表情に俺はゴクッと生唾を呑んだ。
「・・・俺、ネイビーのスケスケパンツを買ってくる」
　真面目な顔して何を言ってるんだこの子は、と俺は目を丸くしてしまう。
「買ってどうするの、落ち着いて太輔！！」
「猫のぬいぐるみを買ってセーターとパンツを履かせる！」
　そして北山って名前をつける！と勢いよく駆け出そうとする太輔を羽交い絞めで抑えつけながら――完全に育て方を間違えてしまった、と俺は一番大きなため息をついた。

動き出す、作戦本部長
Fin.

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