カップル玉北編 20 side:K ページ20
20 side:K
やっぱり玉のことが大好きだ。玉の愛をこれ以上疑うなんてことはしない。最初からそんなこと疑うだけ時間の無駄だった。誰よりも俺が一番実感できているはずなのに。うんうん、と自分に納得のいく答えが出せたと俺は得意気に微笑み頷いた。
「えっ、玉は恋人が他の人とデートに行くのはあり？」
「うんうん、って、えっ！？そんなの許せるわけないじゃん！！」
何言ってんだ宮田、と俺は思わず宮田の肩を強めに叩いてしまう。
「痛っ！だって玉、記者さんの質問に大きく頷くから！」
ちょっとびっくりしただけなのに、と宮田は肩を何度も擦っている。ごめんつい・・・と俺も悪気を感じて宮田の肩を撫でる。
「すみません、なしです。絶対になしです！！」
「俺も玉と同じです」
と言いながら玉と宮田はよく一緒に出かけてるけどね、と俺は心の中で頬を膨らませた。本当に数秒前に誓ったのに――玉を疑うことはしないって。
「デートって言うと大げさだけど、出かけるくらいだったらありじゃない？」
なぁ千賀、と二階堂が恋人の前で神経を疑う回答をする。さっきまで談笑していたはずなのに、千賀は瞳を明らかに暗くして、そうだね、と小さく呟いた。
「千賀くんも容認？」
「ニカはそうかもしれませんけど・・・俺はちょっと・・・」
千賀がズボンの生地をギュッと握り余計に悲しそうな顔をしたのが分かり、俺は二階堂にイライラしてしまう。大体、俺がこんなに玉のことを疑ってしまったのも、元はと言えば原因は――
困惑する宮田、暗い顔の千賀、能天気な二階堂、苛立つ玉の姿形。その様子が記者さんにも伝わったのか慌てた様子で次の質問に移ろうとしていた。俺は心を落ち着けようと、グラスの中の冷たい水を一気に口に含んだ。
「そ、それでは最後の質問です！恋人が浮気したらどうしますか？」
はい止めを刺されました！と俺は口から思わず水を吐き出してしまった。その場にいる全員が驚いたようにこちらに視線を送ってくる。俺は慌てて咳き込んだ振りをし、この不自然な一連の流れを誤魔化そうとする。
「ごほ、ごほ、すみません。変なところに水が入ってしまったみたいで・・・」
「いや、今のそんなレベルの吹き出し方じゃなかったような・・・」
玉、大丈夫？と宮田が俺の背中を擦ってくれた。
「やべ、そっち側、水が床に流れてる！」
布巾はどこだ、と二階堂がバタバタとしている。
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作者名：ほわわ
| 作成日時：2018年1月15日 0時
