カップル玉北編 18 side:K ページ18
18 side:K
「・・・玉ちゃん・・・」
誰にも聞こえないように俺は玉の名前を口にしてしまった。
引き離されてしまった寂しさと、兄組には藤ヶ谷がいるという焦燥が俺をどんどん不安へと掻き立てる。俺の姿をした玉と藤ヶ谷が何を今頃話しているかなんて考えたら仕事なんて手につくかどうか分からない。特に今度の土曜日のことだけはバレたらまずい。きちんと俺の口から玉に説明をしなくては。早く撮影を終わらせて、玉の元へ帰りたい――
「もう、玉さ、キタミツ大好きなの分かるけど、仕事はちゃんとしないと」
えっ、と心の中を見透かされたかのように、俺はドキッとして顔を上げた。
「そうそう、その辺は俺たちちゃんと区別してるもんな、千賀」
「・・・うん、そうだね、ニカ」
「・・・(ニカ千で元々仕事中もいちゃいちゃしてても不自然じゃないからお前らはいいね!)」
大体誰のせいでこんな不機嫌になってると思ってるんだよ!と俺は思わず二階堂を睨みつけてしまった。俺に黙って玉と一緒に出かけるなんて許せない、と俺は頬をぷくっと膨らませる。
「おっ、怖っ!横尾さんみたいなキレ顔してる!」
「どちらかというと、もぐミツみたいな感じに見えるけど・・・」
「そういえば今日の横尾さんも結構キレてたよね!特に今日は玉とキタミツのラブラブっぷりが凄かったからね」
キレてた〜、と二階堂と千賀は顔を見合わせてよこーさんのキレ顔を真似して見せているようだ。俺は宮田の話の意味が分からず、思わず問いかけてしまう。
「・・・何で俺と・・・ミツがラブラブだと、よこーさんキレるの?」
「えっ、まさか玉、気がついてないの!?」
何に?と俺は首を傾げて見せると、三人は驚愕の顔をしている。
「あの毎日のプレッシャーを跳ね除けているだけじゃなく、意味に気がついてもいなかったなんて・・・!」
さすが玉、と宮田は俺の肩をポンと叩いた。
「それはそれでプレッシャーが堪えてなかったなんて分かったら横尾さんもがっかりしちゃうよね」
「確かに・・・ガヤさんとミツをくっつけるのが夢だもんね」
「・・・(よこーさんのいつもの“太輔と一緒になってくれたら〜”って・・・冗談じゃなかったんだ!?)」
俺と玉が付き合っているのを知っているのにそんな話をするということは冗談に違いない、とお約束のやり取りみたいにしか思っていなかった。
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作者名:ほわわ | 作成日時:2018年1月15日 0時