カップル玉北編 13 side:K ページ13
13 side:K
さすがにいつものお仕置きはできないけど、と言いながら玉は俺の腰に手を回したまま、こちょこちょと指先を動かし始めた。
「あははははは、やだ、やだぁ！！」
くすぐったい、と腹部をさわさわと刺激される感触に耐えられず俺は悲鳴を上げてしまう。自分の身体だから弱点が分かるとでも言わんばかりの玉の指の動きは的確に俺を刺激していく。
「・・・本当にどうした、あの二人・・・」
「というかミツが攻めてるって珍しいよね」
逆はよく見るけど、と二階堂と千賀の冷静な解説が聞こえる。すると、二人とも落ち着け！と宮田が俺たちの間に割って入る。引き離されて、玉はよこーさんに羽交い絞めにされているようだった。
「ほーら、みっちゃん、どうしたの。落ち着いて」
「離してくれ、って、横尾さん本当にミツには優しいな」
「んっ・・・？」
「あっ、違う・・・よこーさん、優しい！」
ごめんなさい、と玉は味を占めたのか、またぶりっ子で誤魔化そうとしていた。そういう俺は藤ヶ谷の腕の中に捉えられていた。
「大丈夫か？」
「あ、ありがと、藤ヶ谷・・・さん」
何で今度はそんな他人行儀なんだ？と藤ヶ谷が困ったように噴き出した。とりあえず収まったね、と宮田は汗を何度も拭いている。
「というか今、太輔にみっちゃんをとめさせれば良かった」
気が利かなくてごめん、とよこーさんが藤ヶ谷に謝っている。
「いや・・・いいよ、むしろこっちの方が良かった」
そうだよね、と俺の耳元に囁きかける藤ヶ谷に俺は思わず顔を赤らめた。あれ、もしかして藤ヶ谷って玉のこと・・・？
「とりあえずもうグループで別れて撮影に入るよ」
「というかみなさんそろそろ・・・」
よろしいですか、と待ちくたびれたらしきスタッフさんが扉から顔を覗かせている。全員ですみません、と頭を下げ、俺は玉に駆け寄る。
「・・・ごめん」
「・・・俺こそ、ごめんなさい」
「・・・何に謝ってるんだろうね、俺たち・・・」
玉の言葉が身に刺さるようだった。そもそも俺が藤ヶ谷とのことをきちんと話せばそれだけで済む話なのに――好きな人に秘密を作るから悪いんだ、と俺は唇を噛み締める。
「玉ちゃん、あの・・・」
「じゃあ、早速ですがお話していた通り兄組と弟組に分かれて今日は一日撮影いたします！」
俺と玉は目を合わせて、今のスタッフさんの言葉を復唱する。
「兄組と・・・」
「・・・弟組」
「「えーーーー！！？」」
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作者名：ほわわ
| 作成日時：2018年1月15日 0時
