きっと、何度でも【岩谷翔吾】 (ページ7)

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関西弁ページ7

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翔吾side

隣の席に気になる子がいるって
学生時代の恋愛において、これ以上に幸せなことなんてないわけで

『翔吾くん、次の移動教室の場所分かる？』

翔吾「あーっと、どこやったっけ？」

『あっじゃあ、一緒に行こっか』

最初のうちはこういうことがきっと沢山あるんだろうと思うと嬉しかった。

教室の場所が分かっても、分からないって言い続けたら、案内してくれんのかな？
…なんて、思ったり

『この学校案外広いもんね～』

翔吾「俺がおった学校より全然広い」

『そうなの？』

翔吾「うん、広い広い」

中庭が2つあって、建物の真ん中にホールとそれを囲む螺旋階段
窓が大きくて、学校の中にいても見晴らし良く感じる設計
建て替えたばかりの学校だから、まだ木の匂いさえ感じる

俺がついこないだまでいた大阪の学校とは、全然違った

『最初からずっと思ってたんだけどさ』

翔吾「ん？」

『翔吾くんの関西弁っていいね』

翔吾「関西弁？」

『聞き慣れないからさ、いいと思う。うん』

翔吾「…そう？」

大阪に住んでた期間は、多分最長ってくらいに長くて
いつの間にか俺の中にしっかり染み込んでいた関西弁

翔吾「でもそう言われると、なんか…出てこーへんな」

『いや、出てるよ？』

翔吾「あ、ほんまや」

『ほら！』

翔吾「うわ～、なんか恥ずかし…」

『かっこいいよ、関西弁』

翔吾「…ま、しばらくはこれやと思う」

『やったね』

いいねとか、かっこいいとか
そんなことって簡単に言えるもんなん？
…これが、東京女子の力なんか？

周りが関西人だらけだった俺からしたら、この方言を褒められること自体なくて
慣れない言葉たちに動揺した

『じゃあ、また教室でね』

翔吾「ありがとう」

移動先の教室に着いたら、Aちゃんと別れて、指定の席に座る。

きっと、Aちゃんが話す言葉ひとつひとつ
例え何でもないものだったとしても、それが俺には響いてくるんだろう

「やっときた」

翔吾「おー、ごめんごめん」

クラスの男子ともすっかり打ち解けて、何人か友達と呼べる人ができた

「なあなあ、」

翔吾「ん？」

「香取って、可愛いよな」

翔吾「ああ、うん」

「いいよなー、転校して初っ端隣って」

初めて見た時から思ってたけど、Aちゃんは可愛いからきっとモテる。
周りの声がその証拠で

だから、彼氏とかいるんだろうなって
勝手にそう思ってた。