きっと、何度でも【岩谷翔吾】 (ページ15)

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責任取ってページ15

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翔吾side

厳しい寒さがなくなり、冬が終わろうとしていた。
いつものように、学校の昇降口でAを待っていると、

『わ！』

翔吾「うお！！…はぁ、もう…」

『あれ…怒った？』

いつもとは反応が違う俺の様子に、混乱気味のA
でも、後ろから驚かされることは今までもたくさんあったし、俺は怒ってるわけじゃなかった

翔吾「なあ、今日また変なやつに絡まれてたやろ？」

『え？』

最初こそ、Aだけに一直線すぎて何も見えてなかったけど
Aがこの学校でモテないわけがなかった。

割りと大規模の学校だけど、Aの存在を知っている人は多かった。
このクラスに可愛い子がいるというニュースも、付き合ってから余計に俺の耳に届くように感じる。

『変なやつって…誰？吉岡くんのこと？』

翔吾「あ、確かそんな感じの」

『絡まれてたっていうか、うーん…』

翔吾「あ、分かった。告られた？」

『や、違うよ…？』

翔吾「…分かりやす」

そう言うと、Aは決まり悪そうに下を向いた。

Aは嘘をつけない。
つくけど、分かりやすすぎてすぐバレる。
でもそれも、Aの可愛いところの1つだと思っている俺はもう手遅れだと思う。うん、ゾッコン。

翔吾「嘘つく必要ないやん」

『…だって、翔吾くん嫌かなって思って』

翔吾「翔吾くんは隠された方が嫌なんですけど、」

『…ごめんなさい』

翔吾「まあ、それはええけどさ」

Aを叱りたかったわけじゃない。
正直言うと、できればAにはこうなる理由に気づいてほしかったけど

翔吾「あー…思ったより、妬けんな」

『え…ヤキモチ？』

翔吾「…言い直さんでええから」

『え、かわい』

翔吾「毎日ヒヤヒヤしてるこっちの身にもなって」

『毎日なの？』

翔吾「…や、毎日ではないけど」

それが精一杯の強がり
若かりし頃の俺の、初々しいヤキモチ

Aはそうと分かると、そっかぁって言いながら少しだけ嬉しそうにしてる

『私が好きなのは翔吾くんだけだよ』

翔吾「…それは知ってる、けど」

『でもちょっと嬉しいなって言ったら、翔吾くん怒っちゃいますか？』

翔吾「や、怒らへんけど…束縛しまくる男になったら責任取ってな？」

冗談めかして俺がそう言うと、少しだけ悩み始めたA。

嘘つけない、素直で、平気な顔して好きって言えるところも
全部、不思議なくらい愛おしく思えた。