夢見る隙間（壱×北） (ページ7)

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シュミレーションページ7

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あれからしばらく経って、時計は9時を回っていた。

「明日も早いメンバーいるんで、もうそろそろ開きますか」

そんな声が聞こえてきた。
メンバーっていう言い方、独特だなあ
本当に謎が深まるばかりだ
お話が上手なスタッフだったら、気になった時点で簡単に聞けちゃうんだろうな

『ありがとうございました』

続々とでてくるお客さんに挨拶する。
肩を組んで出ていく人たちとか
靴を間違えて履いて出ていく人とか

でも、お店のもの何も壊れてないから全然なんとも思わない。

レジでお金をちょうど受け取って、
最後のありがとうございましたを言おうとした時、

「ご馳走様でした」

『、ありがとうございました』

後ろから声が聞こえてきて、まだ人がいたのかとびっくりした。

でも、やっぱり素敵な声だ。

「ほくちゃんはー？」

「トイレじゃない？」

「あー、はいはい」

もうすでにお店を出て、階段の下に降りている人たちに
絶対に聞こえない声の小ささで適当な返事をしてから、

「また来ます」

そう言って会釈をして、お店のドアを閉めた。

分からないけど、
またここに来てくれるような気がした。

ほくちゃんって呼ばれてたっけ
じゃあ、本名はほく… ほくと？
変化球だったら、厳しいけど

ほくちゃんと呼ばれるその人に少しだけ興味を持ったことで、いつもより片付けに時間がかかった。

だから、
今日のバイトはシミュレーション通りにはいかなかったな。