髪の毛 ページ43
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たまにふらつく北人くんを支えながら2人でマンションに入る。
大丈夫と言ったはいいものの、
こんなん誰かに見られたらどうすんのかな
絶対勘違いされるよ…
北人「あれ、鍵がない…」
『あ、私が持ってます』
壱馬くんに預かった鍵を北人くんに渡すと、ギリギリ開けることができたご様子。
お邪魔しますと言いながら、フラフラの北人くんの背中を支える。
しばらく北人くん家に来ることはなかったけど、変わらず綺麗にしてるなぁ
あ、洗濯物はみちゃだめだ…うん
『北人くん、このまま寝ます?』
北人「…うん、もう寝る」
『もう、大丈夫そうですか?』
北人「ん…もうちょっといて」
見た目は大丈夫そうだけど、
意外としんどいのかな…?
キッチンに行ってお水をくんで、ベッドサイドに戻ると
ベッドに横になっている北人くんは
今すぐにでも寝てしまいそうだった
北人「…A?バイト終わりに、ごめんね」
『それは気にしないでください』
北人「…ありがと」
『…そういえば、何か用があったんですか?』
壱馬くんは北人が呼んでるからって
電話でそう言ってた。
何か用でもあったのだとしたら、聞いておいた方がいいよね。
北人「最近さ、会ってなかったから」
『あぁ、確かに』
北人「だから」
だからって、言い切って満足そうしてる北人くん。
…
え…それだけ?
北人「何その顔、わかってない顔でしょ」
『…』
北人「寂しかったの、俺だけ?」
ノーセットの金色の髪の毛
そこから覗く今にも瞑りそうな目
自然とカールしているまつ毛
お酒か照明のせいか分からないけど、火照ったように見える頬
全部が今、わざとみたいに北人くんを色っぽくさせていて
そんな顔で、覗き込むように私を見ないでほしい
北人「ふふっ、」
ベットサイドで屈む私に、伸びてきた北人くんの手
なぜか笑った北人くんは、私の髪の毛を触りながら
北人「ちょっとのびた?」
『…いや、』
北人「…綺麗な髪だね」
こんな短期間に変わるほど伸びませんよ
いつもの私なら、そう言ってたかな
北人くん、
ちょっと酔いすぎだよ。
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作者名:はるの | 作成日時:2020年10月16日 11時