【Fischer's】会いたい (ページ5)

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卒業式。
私はシルク、モトキ、ぺけたんと同じ高校へ進学する。
他のみんなも遠くへ行くわけでは無いからお別れって感じは全然しない。

でも、なんとなくさみしかった。
幼馴染のンダホやザカオと高校違うし。
別にすぐ会えるじゃんって自分に言ってみるけど、学校が違うだけでどうしてこんなに寂しいのか。

『慣れって怖いなー……』

桜の木の下で他のクラスメートが写真を撮っているのをぼーっと眺めながらボソッと呟いた。

モ「何がこわいの？」

『うわぁっ！モトキ！？』

モ「そんなに驚く？」

『いやぁ、めっちゃぼーっとしてた。気づかなかった。』

モ「だよねー。…で？何がこわいの？」

いきなり現れたモトキに独り言を聞かれてしまった。まぁ別にメンバーだからいいけどさ。

『んー…私とダホとザカってさ、幼稚園の時からの仲なんだよ。小学校も中学校も一緒でさ、それが当たり前になってた。でも、高校別れるじゃん？なんかさ、それが寂しいなーって。慣れってこわいなーって思って。』

きっとね、2人に軽く依存してると思うんだよね、私は。

そんな私の他愛のない話をモトキは真剣に聞いていた。

モ「兄弟みたいなものだよね、ずっと一緒にいるとさ。」

『そうそう！2人は弟みたいな感じ。』

モ「え？wAがお姉ちゃん？」

『なんだ文句あんのか。』

モ「怖い怖いwww」

『食いしん坊の弟の暴走を止めたり、ビビりな弟を守ったり。』

モ「あ、確かにお姉ちゃんだ。」

『でしょ？ww』

この空気が心地いい。
なんか落ち着くんだよね、モトキと話すと。
マイナスイオン放出してるんじゃないかなこの人。

『まぁ、マサイやダーマとも違う高校だからそれも寂しいな。』

モ「俺も。なんだかんだずっと一緒にいたし。」

でも、と言葉を切ったモトキ。その言葉の続きが気になりモトキの方に顔を向けた。そしたらモトキも私の方を見て、ふんわりと笑った。

モ「Aと一緒なのは嬉しいな。」

『え…』

なんだ、これ。
なんか胸がぎゅーってなった。

動揺を悟られたくなくてまた前を向いて

『私も嬉しいよ！』

なんて言ったけど。

これ以上ここにいては行けない気がして立ち上がったらビューって風が吹いた。

桜の花びらが舞い上がって、モトキがふいに私の髪に手を伸ばして髪についた花びらを取ってくれた。

モ「ふふっ、とれたよ。」

あぁ、だめだ。
心臓がうるさい。

桜舞う季節。
私は君に恋をしました。