【Fischer's】会いたい (ページ26)

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『う、わ……懐かしい……。』

まるで時がそこだけ止まっているかのように、昔と全く変わってない。

よくここで鬼ごっこしたなぁ。

あの雲梯、シルクが競走だ！なんて言ってみんなでよくタイムを競ってた。

あ、あのジャングルジム。ンダホが上まで登ったけど、降りられなくなって！みんなで救出活動したっけ。

滑り台は……そうそう。シルクが階段じゃなくて真ん中の柱から登り始めてモトキがそれを真似してたけど、初めは全然登れなくて。でも、登れた時のモトキの顔ったら、すっごく嬉しそうなの。

あと………

『……ブランコ。』

2人分のブランコには目の前に柵？のようなものがある。

ここではブランキングファイトしたな。

シルクやモトキは出来てたけど、
私は全然出来なかった。

高いところは苦手じゃないから、ブランコを上まで漕ぐ所までは余裕だった。だけど、その後手を離すことがどうしても出来なくって。

落ちたらどうしようとか、上手く着地出来なかったら絶対痛いとか。

やる前からそんなマイナスなことばっかり考えて、結局出来ず終い。

……あれ？
なんか、

『まるで今の私だね………。』

みんなに嫌われてたらどうしよう。
絶対怒ってるし、拒絶されるに決まってる。

いつまでも勇気が出なくて、今までみんなに会えなかった。

今だって逃げ出したい気持ちでいっぱいだ。

みんなに会うことが怖いんだ。

でも、いつまでも逃げちゃだめだ。

みんなに会うために、ほんのちょっとでもいいから勇気が欲しい。

『今なら、できるかな？』

私はブランコに座り、ゆっくりと漕ぎ始めた。
徐々に反動を付けてどんどん高くなっていく。

あ、やっぱり怖い。

下手に落ちたら痛いよ？(会っても嫌われるだけ。)

絶対怪我するよ？(絶対拒絶される。)

……でも、

逃げたくない！

みんなに、会うんだ！

自分の気持ちに正直に。

私はブランコから手を離した。
その瞬間体が空へ投げ出される。

あ、なんだ。
やってしまえば、こんなに簡単なものだったんだ。

色々なものが吹っ切れた気がした。

下を見たら、いつの間にかみんながいて

動揺して、バランスを崩してしまったけど。

みんなが受け止めてくれた。