先輩は教祖らしい 壱 【童磨】

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私は借りた本を胸に抱きしめ、教室に戻った


下校時間は過ぎているから、教室には誰もいないはず



自分の机に座ると、ふとさっきの先輩のことが気になった


SNSを開いて先輩のアイコンを見てみる


人気のコーヒーショップのドリンクが２つ写ってて、奥には…


これ、3年の…


思い出した。善逸が言ってた噂


やっぱり噂、本当なんだ


…なーんだ


ってなに私はガッカリしてるんだ


荷物まとめてさっさと帰ろ


机の中に入っている教科書を手探りで出そうとすると、何か冷たいものが入っていた


紙パックジュース？とメモ




A、また倒れて心配だよ…大丈夫？

無理しちゃダメだからね？

今日は部活で帰れないけど、明日は一緒に帰ろうね！

お大事に！(^^)


　 カナヲ



カナヲが入れてくれたんだ！


カナヲは私の数少ない、というか唯一の女の子の友達


裏表がないから付き合いやすいし、目立とうとする意思がないから、気が楽なんだよね


ごめんねカナヲ。いつも心配かけちゃって…


ジュースとメモを大事にバッグの中にしまう


他の教科書たちも全部詰めて、最終確認


机の中を覗こうとした瞬間、アイツの声が聞こえた




「A」




私が倒れた直接的な原因を作った、あの金髪の奴




『なに、善逸』



ドアに寄っかかっている善逸


風紀委員の仕事をしている時のような、あの弱々しい表情ではない



「さっきは、ごめん」

『やだ』

「なんで『何回も言ってるよね？学校では私と関わらないでって』

「なっ、」



ムチで打たれたような顔になる善逸




善逸とは幼なじみだ


母親同士がすごく仲が良くて、物心ついた時からずっと一緒だった


小学校も一緒の学校で、クラスが違くてもお互いにクラスを行き来する遊び仲間だった


卒業して善逸はこのキメツ学園の中等部に。
私はそのまま公立の中学へ入学して、バラバラになった


中学は別だったのになぜかまた、高校は一緒になってしまったんだ




だから、善逸は全部知ってる。過去も。


私がどうやって生きてきたかも全て。

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