先輩は教祖らしい 壱 【童磨】

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『…！！！！』



やっぱりまたあの夢


なぜこんな夢ばかり見てしまうのか


重たい身体を起こして部屋を見渡す


何の変哲もない朝




「おはよ」

『ハ！？』



ではない


なぜかいる金髪のあの男


まるで自分の家のようにベッドに寄りかかっている




『なんでアンタがいるの！？』




どうやって入った？まさかあまり関わらないうちに変な趣味見つけちゃった？


大丈夫かコイツ？


ポカンと善逸を見つめるとはぁ…と言わんばかりの顔で口を開く



「昨日、倒れてたじゃん。俺が知らないとでも思ってるの？」

『え？』

「今日は？平気？痛いところ、ない？」




近づいてきておでこに手を当てようとする善逸


その手をかわすようにして、そっぽ向く



『ない！ないから！！元気！すごく元気だから！！』

「嘘だ。泣いてるじゃん」

『え？』



頬を触ると湿り気がある


それも両方とも。


泣いてた？私が？



「うなされてた。泣いてたよA」



いつのまにかドア付近の壁に寄りかかっていた善逸は、腕を組みじっと私を見ている



あの夢は何かあるのかな


予知夢？悪夢？


全くわからない


私を呼ぶあの人の顔、あの人にかかっている霧が晴れることがあるのだろうか


私にもわからないんだよ善逸



『ってか、なんで善逸がいるわけ？家の鍵かけてたよね？』

「昨日、春兄から合鍵もらった。お前のこと頼むって」



春紀お兄ちゃん？


もうずっと会ってないお兄ちゃんとなんで善逸が？


私とは会ってくれないくせに善逸とは会うんだ？


なにそれ。意味わかんないし。




『はぁ…善逸、着替えるから向こう行ってて』

「わかった」




私はクローゼットから制服を取り、いつも通りワイシャツに袖を通す


ピンとアイロンで伸ばされた袖が、なんだか苛立たしい


それは真っ直ぐで誰よりも優しい善逸を見ているような気がしたからか


それとも、本当はこんなことする人間ではないのに、毎日制服をピッシリと着ているからか


考えれば考えるほど、自分の本当の感情が分からない



ボタンを上まで止めて、ネクタイをしめる


こんな隠キャみたいに制服を着るキャラじゃない。


この苛立つ感情をどこへ向けたらいいのか分からなくて、ブレザーを乱暴に羽織って部屋を出た




『お待たせ、善逸』

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