＊LastChance 【まふまふ】＊

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真冬side


ライブ会場に入れば、散らばる男女。


寒色のライブは男女比五分五分と聞いていたのは、


どうやら本当だったらしい。


圧倒的に女性が多い僕のライブではまずない光景だ。


歌い手歴が長いので、年代も広い。


まぁ僕のリスナー歴も同じぐらいなのだが。


そんな寒色さんにやっと会える。


やっと顔が見れる。


ライブでは顔出しをしている寒色さんの評判は、


歌い手の中でもずば抜けていて、


可愛いより、大人っぽい綺麗さよりらしいが、


出回る写真はどれも全く顔が映らない。


印象に残ったのはストレートな綺麗な黒髪に、


青色のエクステ。


だからそれに合わせて青色のエクステを


付けてる人が多いのかと今更気付く。


そんなことを考えている間にぱっと全体の照明が消える。


そして目の前の舞台から聞こえてくるのは、


ｶﾂﾝｶﾂﾝと響く、速足のヒールの音。


その音が止まるのと同時にマイクからの音声が聞こえる。


「こんにちは!寒色です!」


ライトアップされた舞台に立っていたのは一人の女性。


目にその人が映った瞬間、思わず僕の手から


ペンライトが落ちた。


真冬「え…？」


とうとう片思いの弊害は


錯覚まで見えるようになってしまったのか。


真冬「…Aさん！？」


思わず驚いて叫んでも、


周りの歓声に呑まれて、届くはずもなかった。

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