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「ああ、素晴らしい兄弟愛だね。反吐がでそうだ！ 所詮情愛やらなんやらは錯覚に過ぎぬというのに……いや、子供であれば別なのか？ 確かに10年前の、あの友情によってもたらされたエンターテインメントは最高だったが……よろしい、ならばまたやってみればよいこと」
興奮しているのか落ち着いているのか分からない、耳障りの悪い声で侯爵は言う。彼の不気味な笑い声が石壁にこだまする。
一度、侯爵は棒を火の入った入れ物に突っ込みなおした。そして、一歩踏み出しこう言う。
「よし、そこのウサギの畜生。お前は、キツネの畜生に手を出させないためなら何でもやる、ということでいいのだな？」
突然の問いに、びくりとケントの体が跳ねた。
どうだ。自分は本当に何でもできるのか？ 軽々しく返事をしてもよいのか？
気管に氷を投げ込まれたような心地がし、ケントの息が不意に荒々しく、不規則になる。
「どうなんだ」
『いいか、俺がいないときは、お前がみんなを守るんだぞ！』
侯爵の声に重なって、ケントの頭の中では兄貴分の言葉が繰り返された。
氷は解けた。
「ああ、もちろんさ！」
声の震えを打ち消さんと、大きく声を張って彼は言う。にやあ、と、侯爵の口はさらに上限にゆがめられた。
「それじゃあ、お前には二つ分印を押させてもらおうか。お前の分と、キツネの分さ。それに、お前には二人分働いてもらう。説明はいらないね？」
ごとり、と再び棒が取り出された。色は赤を通り越し、白みを帯び始めている。
自分が頑張れば、ドルーは助かる。
ケントの頭の中には、それしかなかった。
「ああ。いいさ……やってやるとも」
そう言ってケントは侯爵をじっと見据える。――けれどこの後を予見した彼の足は、声は、視界は、震えるばかりであった。
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紫清(プロフ) - 嵩画さん» 温かいお言葉ありがとうございます！ 読んで下さる方がいるということが何よりの励みになりますので、今後ともよろしくお願い致します。 (2020年3月16日 18時) (
レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
嵩画(プロフ) - 毎回更新される度にわくわくしながら読ませて頂いております…今後の展開が非常に楽しみです。お忙しい時期だとは思いますが、頑張って下さい。 (2020年3月16日 17時) (レス) id: 34e937d538 (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - ももせさん» ありがとうございます！ 長くなりそうですが、お付き合い頂ければ幸いです。 (2019年9月26日 0時) (レス) id: 85ba6a0490 (このIDを非表示/違反報告)
ももせ - 小説版すごく楽しみにしていました！今後の展開が気になる…更新楽しみにしてます！！ (2019年9月23日 23時) (レス) id: a031215c05 (このIDを非表示/違反報告)
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