鑑識課の女5【名探偵コナン】

回想(告白)3 ページ9

「…………なんでコレをお前が持ってくるんだ？」
「えぇと……」


風見はカチャッとメガネの位置を直すと首筋に汗が流れるのが分かった。


「ロビーでAに会いまして、その…降谷さんと同期という松田という男とデートをするそうで、」


ガタッ！！！！！


と、降谷は勢いよく立ち上がった。その反動で椅子が後方に倒れた。他の職員たちからの視線を集めたが、降谷は構わず続けた。


「……それで？」
「そ、それで、松田という男にこの資料をAの代わりに降谷さんに渡せと言われ…」
「それで、まんまと資料を押し付けられて俺のところまで来たと。」
「は、はい！すいません！」


風見は心の中で(Aこの野郎。この貸しは高くつくぞ。)と、悪態をついた。


「で、Aは退勤したと…」
「は、はい…」


風見は降谷を見て戦慄した。アイスブルーの瞳は冷たく燃えていたのだ。風見はAの命の危険を感じた。


「あ、あの！Aはその…無理やり連れていかれて…、だからその…決して業務を疎かにしたわけでは……」
「無理やりだと…？」


ギンッと音のするような視線を向けられて風見は萎縮した。
スーツの上着を羽織ると降谷は席を立った。


「風見、俺も今日は退勤する。あとは頼んだ。」


風見は出て行く降谷の背中を呆然と見ながら思った。


(俺いま言葉の選択を間違えた気がする…。)

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