鑑識課の女5【名探偵コナン】

裏切りのステージ10 ページ5

沖矢、安室、コナンの推理により、控え室で自ら命を絶っていた波土禄道を発見したマネージャーの円城が他殺に見せかけるためにステージに吊るしたことが判明した。
彼女を想うが故に死を選んだ彼と、彼と彼の家族を想って偽装した彼女の悲しい事件であった。


事件解決で、コナン達は帰宅するようだ。Aは残る鑑識作業を行っていると、


「またね、Kitty。」



「え…？」


知らない女性の声が聞こえてAが顔を上げると、梓の後ろ姿だった。


(ベルモット……)


『またね』のさす意味を推量れずAはその場に立ち尽くした。





「さっき、彼女に何を言ったんです？」
「あら怖い顔。」
「質問に答えてください！」


安室はベルモットをセーフハウスまで送り届けるために運転していた。助手席で梓の変装を解いて素顔に戻るベルモットに聞いたが彼女は面白そうに揶揄った。


「別に？『またね』って言っただけよ。」
「………。」
「やだ、睨まないでよ。貴方が私の約束を必ず守ってくれるなら、貴方の大切なkittyを傷付けないわよ。」


と、いうとベルモットは胸元から出したサングラスをかけた。


「可愛いじゃない、あの子。私の好きなタイプだわ。貴方がいらなくなったら私が貰おうかしら。」
「……はぁ？」


思っても見ないベルモットの発言に安室は素っ頓狂な声をあげた。彼女の心内を探るために顔を見たが、表情は生憎サングラスの所為で伺えない。


「彼女は鑑識官という優良物件です、譲るわけには…」
「はいはい、そのアンサーは聞き飽きたわ。」


安室は押し黙る。ベルモットの意図が分からない。


「……僕がコナン君と蘭さんに危害を加えなければ、貴女もAAに危害を加えないという約束でいいんですね？」
「勿論。プラス、貴方がいらなくなったら彼女は私が貰う。」
「いらなくなんて、なりませんよ。」
「あら？やっと聞けたわ。貴方の本心。」


口元に弧を描いたベルモットはセーフハウスの前で停められた車から、優雅に外に出た。
バタンと閉まるドアを張り付いた笑顔で見送った安室の表情は、解くタイミングが分からないまま、そのまま発進した。

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