純恋愛のすゝめ【Yuto.T】 (ページ5)

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5話ページ5

一悶着ありながらも買い出しに向かい、日用品と食材を両手いっぱいに持ってマンションへと戻る。殆ど空だった冷蔵庫に今日明日くらいなら持つであろう野菜や肉と、お弁当用の冷食や卵を詰め込んで少し休憩。あとでお風呂でも洗うか。

「ねえ、髙橋っていつも社食だったっけ」

「そー」

「来週からお弁当作ろっか？」

「え？いいの？」

「うん。一人分も二人分も変わんないし」

「やった、じゃあ頼む。弁当箱出しとくわ」

切れかけだったらしい洗剤の詰め替えを終えてキッチンへと戻ってくる髙橋。上の棚をごそごそと漁って出されたお弁当箱はなんだか見覚えがある。ああこれもしかして、

「前からずっと社食だった？」

「んー？いや、入って1年くらいはずっと弁当だった」

「………なるほど～…」

やっと解けた。2DKと、可愛いキャラクターストラップと見覚えのあるお弁当の謎。そういえばなんかそういう話をちらっと小耳に挟んだ事があるような無いような。ていうかまだ残してるんかい。

「……なににやにやしてんの」

「いやー、髙橋って意外と過去を捨てられないんだなって」

「は？………あ！ちっげーよ！そういうのじゃなくて、別に弁当箱に罪はないんだから捨てる必要ないだろ！」

「へ～…じゃあこれもそうだね」

「おっまえ、マジで！」

鍵に付けられたストラップを奪い取りながら慌てる髙橋を見ると笑える。けど別にそんなの全然気にしないのになあ。彼女でもなんでもないんだから。

「…ほら」

「ん？あれ、変えられちゃった」

「そんなん言われたら変えざるを得ないじゃん。つか女ってそういうの嫌ってよく聞くし。あんまり分かんねーけど」

放り投げられたのはさっきとは違うボールチェーンのキーホルダー。よく分からない、とか言いつつもきちんと取り替えてくれる辺りやっぱりこの人は優しい。

「ここも元カノ部屋ってことか」

「お前絶対追い出す」