占いツクール
検索窓
今日:911 hit、昨日:3,059 hit、合計:301,792 hit

08 ページ8

◇2004◇夏





田舎というのは、親戚を少し辿れば大体ひとつは自営業をやってる家に当たる。
うちはそれがたまたま、祖父母で。しかも、地元の人に愛される感じの商店だった。

『菱川商店』と古びた看板を掲げて、近所の農家さんの育てた野菜を並べて、早朝に牧場のおじさんたちが乳製品を持ってきたりして、そのうち原付の音がして新聞が届く。

おじいちゃんはよく、○○新聞は嫌いだけど◇◇さんが好きだから切らせねえんだ。なんて言って、縁石に腰掛けて競馬新聞を読みながらマイルドセブンを吸っていた。

おばあちゃんは、そんなおじいちゃんを見て「あら、私とあなたみたいですね」なんて冗談を言っておじいちゃんを慌てさせていた。

煙草は死ぬまで辞めないなんていうおじいちゃんが、おばあちゃんのちょっとした意地悪で慌てて火を消す瞬間が。私はちょっと、好きだった。


うちは、子供の好きな駄菓子もたくさん仕入れるから、夕方には子供の溜まり場になっていた。
私はひとりっ子で、両親は共働きで昼間は都市部のほうに出ていて。さらに夜もろくに帰ってこれてなくて、鍵っ子だったから。
学校からそのまま、祖父母のいる店に行った。学校と家の中間点にあるそこは、色々と都合がよかった。

そして奥の部屋で、古い大きい木の机に宿題を広げて、ギシギシ鳴るパイプ椅子に座って宿題なんかをしていた。

人付き合いが苦手なわけでも、友達がいないわけでもなかったけど。いわゆる、ひとりっ子気質と、少しおませさんのような感じで一人のが楽だったから。
外の方で同級生の笑い声が聞こえても、私は外に出なかったし。
街で人気の商店の孫だからといって、出しゃばらないのが周りには良く映っていたらしかった。


「Aちゃん、ちょっといいかい」


その日は、小学三年の夏前で、門限のチャイムが鳴った後だった気がする。
18時過ぎなのに少し暑くて、私は皿洗いを10回して貰ったお小遣いでパピコを買ったんだ。

半分に割ったその一つを咥えて、ランドセルの中から今日の宿題を探してた。

またお母さんたち帰り遅いのかな、とか。帰ってこないのかな、とか。今日もばあちゃん家で晩ご飯かなとか考えながら。
店に繋がるドアを開けた。
そうしたら、花柄のエプロンをしたおばあちゃんと、肌の白くて不安そうな顔をした男の子がいた。


「なぁに…………え、どしたの」
「この子、Aちゃんのお友達かい?家に誰もいないのに鍵忘れたらしいんだわ」

09→←07



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (552 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
922人がお気に入り
設定タグ:SixTONES , 松村北斗   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:こより | 作成日時:2021年9月15日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。