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キスして泣かれるなんて、きっと初めてだろう。だって、こんなにかっこいいんだもの。傷付けたと思った。
ごめんなさい、と謝ると「俺が悪いよ」と言われた。「……最後にキスしたのが、その上司だと思ったら止められなかった」って。
そういうことを、言われると苦しくなった。

こうやって次の日、心配のLINEをくれたけど。それから、彼からの連絡はぱったりと途絶えた。





.





仕事から帰ってくると、春ちゃんはダンボールに自分の荷物を詰め込んでいた。
私はそれをダンボールから取り出す、という作業を一生懸命していると怒られた。当たり前だ。

「なぁにやってんの、あんたは」
「春ちゃんが詰めたもの取り出してる」
「なんで」
「出てってほしくない……」
「うっ」
「春ちゃん、まだ家にいようよ……」
「……駄目!無理!」
「強情だなあ」

諦めて取り出した荷物をダンボールに仕舞っていると、「何かあったの?」と言われた。
私はそれに、なにもないよと言った。

「もしほんとに何かあるなら、私ここにいてもいいよ」
「………ううん、大丈夫」
「甘えたり、隠し事したり忙しいなきみは」

春ちゃんはやさしく微笑んでくれた。
本当に綺麗な顔をしてる、と思った。
私も春ちゃんみたいに綺麗だったら……と考えて、やめた。
こういう考えは、何かが始まってしまう気がした。

「……Aさ、昔すっごい好きだった男の子がいたって言ってたよね」
「…え?そんなこと言った?」
「大学生の頃、めったに飲まないくせにベロベロに酔って泣いてた」
「……そうだっけ?」
「絶対叶わないから、離れるんだって言ってた。……それって、その幼馴染くん?」

私は北斗くんのことを、春ちゃんにさえ言ったことはなかった。
SNSだって、当時の友人は一人も繋がっていない。バレるのが、怖かった。
ちっぽけな承認欲求で、彼のことを売るような人に。私達のことを、晒されたくないと思っていた。誰にも共有せず、私だけの心の中で綺麗な思い出として残す覚悟ができていた。



春ちゃんには言いたい、と思ったことはある。……でもそしたら、彼女に今後何十年も絶対に誰にも言えない秘密を作らせてしまうんだと思ったら言えなかった。
そういう、秘密にしなきゃいけない人に、北斗くんはもうなっていた。

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設定タグ:SixTONES , 松村北斗   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:こより | 作成日時:2021年9月15日 12時

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