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「……仕事で、いつもこうなるから。……でも、仲良い人とかと話したりすると治るの」
「待って」
「現にもう、痛くないよ」
「うん、それはよかったけど。……わかった。じゃあ今日はそれについて聞くことにする」

北斗くんは、既に頼んでいた飲み物に加えて温かいお茶と、膝掛けを頼んだ。
申し訳ないからいい、と言うと「いいから」と真顔で言われて従うしかなかった。
テーブルの上には、胃に優しいものが並ぶ。それを見ていたら自然と食欲が沸いて、箸が進んだ。

「無理してない?」
「してないよ。おいしいね」
「……そうだね(笑)」

北斗くんも、もぐもぐといくらか頬張って、それから先程の話題に触れた。

「……仕事で具合悪くなるって、何?」
「……」
「Aちゃん」
「大したことないの。大丈夫」

それは、強がりでもなんでもなく、ただ本当に言いたくなかった。
毎日テレビに引っ張りだこで、死ぬほど忙しくしているこの人に。
仕事のことで参ってる、なんて言えるわけなかった。そんな恥ずかしいこと、なかった。
私のちっぽけなプライドが、彼には言いたくないと主張していた。

「あんなに真っ青になって、大したことないはねえだろ」

無機質な声が発されて、びくりと身体が震えた。胸の上のほうが、引き攣ったようになって困った。
北斗くんは、再会してからずっと優しくしてくれたから。優しく、甘く、もはや何か企んでるのかってくらい私のことを聞かなかった。それはきっと、何か一歩間違えたら私がまた逃げ出すと思ったんだろう。
現にそれは間違いじゃなかったから、私はずうっと甘えていた。

「何があったの?」
「……言いたくない」
「俺のこと怒らせたい?」

強引に脅しのようなことを言うくせに、彼の表情はすごく心配そうで。労る気持ちが、溢れていた。そんなので怒れないでしょ、と思った。

「まさかセクハラとかじゃないよね」
「……今は大丈夫だよ。ほら、内勤に異動したって……」
「なあ、今否定しなかった」
「………」
「嘘だろ……マジかよ」

北斗くんが、グシャ、と頭を掻くから、もう言ってしまおうと思った。
言ってしまって、ハイお終い、のほうがこの話は終わるだろうと思った。

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設定タグ:SixTONES , 松村北斗   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:こより | 作成日時:2021年9月15日 12時

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