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「Aちゃん、夏休みはどうするの?」
「お店の手伝いかな」
「去年もそうじゃなかった?」
「うん、北斗くんは今年もディズニー行くの?」
「……あのさ、」

なに?と聞くと、北斗くんは勇気を振り絞りますって顔して私を見つめた。

「今年、兄ちゃんが部活で行けなくて………だから、Aちゃんも一緒にどう?……お母さんは、いいよって言ってるんだけど」
「え?」
「一緒に行こうよ」

何を言ってるんだ、と思った。
冗談でしょ?と思っていると、彼は本気らしく私をまっすぐな瞳で見つめていた。

「ダメだよ(笑)」

即座に断る私に、北斗くんはびっくりしていた。

「なんで?ディズニー嫌い?」
「わかんない。行ったことないし………でも、お手伝いしなきゃ」
「ちょっとくらいいいでしょ?」

彼の残酷なほどの純粋さと、久々に感じる幼さに、ひどく安心した。

首を縦に振らない私に北斗くんは痺れをきらしたらしく、いつの間にかおばあちゃんにまで聞いていたらしい。
もちろん、おばあちゃんも首を横に振った。
そして結局私はディズニーには行かなかったし、夏休みの間は店のお手伝いに費やした。

けれど、たまに牧場のおじさんに軽トラに乗せてもらってドライブをしたし、牛の乳搾りをさせてもらったりもした。
農家のおばちゃん達が、採れたての夏野菜をくれたりなんかもした。
そこで飼っているわんこのお散歩を北斗くんとしたこともあった。

北斗くんは犬を飼ってるらしく、扱いに慣れていたけど私は引きずられっぱなしで。
代わるよ、と彼がリードを持って、びくともしないのを見て………そういえば空手やってたなと思いだした。

「いつか北斗くんの試合観に行きたい」
「は、え!?急になに!」
「なんか、急に思った」
「…………」
「嫌なら大丈夫だけど」
「や!嫌じゃな………でも、その。まだ、負けるから」
「だから応援するんじゃないの?」
「応援………や、…ちょっと待って。もうちょい強くなったら呼ぶから」



夏休みが3分の2過ぎた頃、店の軒下で扇風機に当たって涼んでいると北斗くんが来た。

どうしたの、と聞くと「負けた」と言われた。そっか、と私はパピコを差し出した。
そしたら暑いというのに北斗くんは私のすぐ横に腰を下ろして、アイスを齧った。

「………いつか、絶対呼ぶから」
「うん、楽しみにしてる」

でも結局、彼は空手じゃないほうの夢のチケットを手に入れたから、私が試合に呼ばれたことは一度もなかった。

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設定タグ:SixTONES , 松村北斗   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:こより | 作成日時:2021年9月15日 12時

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