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◇2006◇春





北斗くんは、たまに空手の帰りにうちの店に寄るようになっていた。

そして、店番をしているおじいちゃんかおばあちゃんに、「Aちゃんいますか」と声をかける。
私はそのやり取りが、ドアの向こうから聞こえていたけど。
おじいちゃんかおばあちゃんが呼びに来るまで、決して自分から行くことはなかった。

勿論北斗くんが来ない日のほうが多かったから、すぐに顔を出せば何だか待っていたみたいで悔しかったんだ。


私が店に出ると、北斗くんは頬を緩める。
門限のチャイムが鳴った後にこうやってお話をすること、たまにアイスを買って二人で食べること。
なんだか悪いことをしてるみたいでわくわくしたのを覚えている。

私はこの頃、店に寄らずに一人で家で留守番することも多くなっていたから「大丈夫?」なんて心配もしてくれた。
小学五年生の北斗くんは、顔つきがどんどんかっこいい感じになっていて告白もされてるらしかった。全部断ってるみたいだったけど、少し、寂しかった。


「昨日、北斗くんが言ってたドラマ観たよ」
「ほんと!?どうだった?」
「かっこよかった」
「でしょ!?あのさ………感想とか、話していい?」


言いたくて仕方ないんだ!って様子なのが面白くて、頷く。
そうすると北斗くんはよくまあ、喋った。
山Pのここがかっこよかっただの、CDを借りただの、Aちゃんとこ雑誌は取り寄せてくれないの?だの。
私はそれを今も、覚えてる。

家族以外にこんなに話せるのは私だけなのだと、キラキラした顔で北斗くんは言った。
そんなことはないだろう、とは思ったけど北斗くんは道場でもあまり友達がいないらしかった。



「……俺もあんなふうになりたい」
「なれるんじゃない?」
「え」
「え、なにびっくりしてるの」
「………無理、って言われると思った」

だって家じゃ、現実見ろとかハマりすぎだとか言われる。と小さく呟かれる。

「私は家族じゃなくて、北斗くんの友達だもん」

応援するよ、ファン1号になる。と言うと彼は目を丸くしていた。

「あ……でも、1号はお母さんとかのがいいよね?北斗くんのおじいちゃん達も応援してくれるだろうし。じゃあ……私は、10号くらいでいいかな」

そして、まるくなった目を、すう、と細めて「ありがとう」とゆっくりお礼を言った。
それが綺麗で、ああ、北斗くんは受かっちゃうんだろうな。と思った。

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設定タグ:SixTONES , 松村北斗   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:こより | 作成日時:2021年9月15日 12時

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