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ささ、と顔を洗って歯磨きを済ませる。それから鍋を冷蔵庫から取り出して、火にかけると徐々にいい香りが部屋を満たしていった。

蓋を開けると、私の好きなマッシュルームと玉ねぎがたくさん入っていて頬が緩む。

「春ちゃん!」
「んー?」
「マッシュルームと玉ねぎたくさん入ってる!」
「うん、A好きだったよなあと思ってたくさん入れたよ」

白い深皿に、二人分ハヤシライスをよそう。
麦茶のポットとグラスも持ってテーブルに向かうと、春ちゃんはテーブルの上を片付けてくれた。

いただきます、と手を合わせてハヤシライスを口に運ぶ。
春ちゃんは、スプーンを麦茶の入ったコップに入れて、「しまった」という顔をした。

「ごめん、癖で」
「春ちゃんも小さい頃、おじいちゃんの家で育ったんだっけ」
「うん……ごめん、元カレにも注意されてたのに」
「ええ、いいよ?私のおじいちゃんもよくやってた」

昔の人はよくやるよね、私も昔はよく真似てたよ、と言うと安心した顔をされた。

「そういうさ、癖が思わず出ちゃう関係って、私ちょっとすきだよ」
「ありがと(笑)」
「春子ちゃんの元カレは度量の狭い男だな」
「春子っていうのやめて」
「ごめんごめん、春ちゃん」
「ん」

ハルコ、だから春ちゃん。
可愛い名前なのに、本名で呼ばれるのを嫌う。古い感じがして嫌なんだそうだ。

春生まれだからって春子、なんて安直すぎる。と、大学時代の春ちゃんは毒を吐いた。
それに私は、春って人生で勢いのある時期って意味もあるんだよ。子、は最初から最後までって意味があるから、春ちゃんの人生はずっと幸せってことだね。というと、春ちゃんは目をぱちくりさせたんだっけ。
結局、春子って呼ぶ許可は下りなかったけど。


「昨日の飲み会どうだった?」
「んー……」
「やなこと言われた?」
「ううん、でも………営業戻ってこないかとは言われた」
「誰、そんなこと言ったの。殺す?」
「春ちゃん物騒だよ」
「よくもまあ、そんなこと言えるよね。Aが辞めなかっただけ感謝しろよ」
「あはは……」

私の力ない笑い声で、空気がしょんぼりした。
春ちゃんが心配そうな顔してるのが分かるけど、スプーンでハヤシライスを掬う。

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設定タグ:SixTONES , 松村北斗   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:こより | 作成日時:2021年9月15日 12時

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