【2】この広い空の下で私は考えた【knmc】 (ページ44)

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90話【これだけは言えた】ページ44

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「わかった、じゃあ、明日叶さんに会うから言っておくね」
「ありがとうございます」

話しているうちにがっくんの家に着いた。がっくんは一人暮らしで、しっかりと家事などもしている。久しぶりに来たこの家も以前と変わらず、綺麗なままである。

「風呂の場所覚えてる？」
「うん」
「じゃあ、先入ってて、俺は料理作っておくから」

がっくんに言われた通りに私は風呂場に向かう。脱衣所に着くと、着替えが無いことを思い出した。

「がっくん、着替えが…」
「あ、忘れてた…。あ、俺の…ならあるんだけど…」
「1番小さい服がいいな。がっくん大きいから」
「えーと…、あ、これかな。あ…、し、下着は…」
「下着は今日の海の着替えがあるから大丈夫だよ」
「ああ、よかった。じゃあこれっすね」
「ありがとう、がっくん」

私はがっくんから服を受け取り、脱衣所に戻る。脱衣所にある鏡には少し赤くなった目をしている私が映る。

「葛葉………」

そんな呟きは脱衣所の中で静かに消えた。私はお湯に浸かりながら今日のことを考えた。考えれば考えるほど何故葛葉にあんなことを言われたのかが分からなかった。けれど、これだけは言えた。私が刀也くんを好きになったことの何かが葛葉を傷つけた。