82話【お願い】 ページ36
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「何も言わないってことは、合ってんだな」
「あ、えと……」
「もちさんか…」
葛葉は上半身を起こし、持っていた帽子を隣に、つまり私達が座っているレジャーシートの上に置く。葛葉は私から目線を逸らし、頭をクシャッと掴み下を向く。
「なぁ…A」
「どうしたの?」
「あのさ…」
葛葉は私の方を見て口を開いた。
「本当にもちさんのことが好きなのか?」
叶さんは気づいていたのかもしれない。だからいつもだったら私と一緒に葛葉の所に行くのに明那達の所に行ったのか。いや、それより前に叶さんなら葛葉の隣に元々居たかもしれない。けれど、サラちゃんと私の着替えを待ったのは、私と葛葉を2人きりにさせる為。サラちゃんが私について来ると言った場合叶さんは何か行動を起こしていたのかもしれない。それに叶さんは葛葉は寝ていると言った。けど、葛葉は寝てなかった。全てはこうする為だったのだ。
「なんで……」
もしかして最近叶さんが葛葉を見る時やけに悲しそうな顔をしていたのも、最近葛葉がゲームに誘ってこない理由も、不破先輩が私にあの時Aちゃん大変やねと言ってきた理由も、全部。
「あのさ、」
"その気持ち消して欲しい"
その葛葉の顔は泣きそうだった。
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作者名:蒼井 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/5291025/
作成日時:2023年9月1日 19時