49話【6月10日という日】 ページ3
「そのカゴは可愛らしいデザインだったんだって。で、最後の子は、カゴごとリンゴを持って行った。」
そういって叶さんはニコリと笑う。つまり、リンゴがカゴに入っていようと袋に入っていようと、"リンゴを持って行った"事に変わりは無い。それを文の中で伏せただけだ。気付いてしまえば単純である。
ふと叶さんを見るとずっとニコニコ笑っている。
「なんですか、気持ち悪い」
「え!?なんでそんな事言うの!かなちゃん傷ついちゃう!」
メソメソと泣くふりをする叶さん。私は叶さんの前まで来て、言葉を投げる。
「で、本当はなんですか?」
「6月10日、今年も開けてくれる?」
「そりゃあ、叶さんの誕生日ですからね」
そういえば叶さんはパッと笑顔になる。
「良かったぁ。最近もちさんと仲良いから僕のことよりもちさん優先するのかと」
「こんな早い段階から予定入ってる訳ないじゃないですか。まだテストも終わってないですし」
「まぁそうだね。今年も葛葉と3人で」
私に早い段階で6月の予定が出来た。
「結局ウミガメのスープは何がしたかったんですか」
「いや、暇だっただけ」
「ああ」
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作者名:蒼井 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/5291025/
作成日時:2023年9月1日 19時