63話【勝ったらなんでもひとつ】 ページ17
.
試験返却日1日後、放課後。廊下にはそれぞれの教科のテストの10位までの上位者が張り出されている。そこには時間が遅いためか、私ともう1人しかいない。
「数学1位、おめでとうございます」
廊下の貼り紙を剣持くんとみている時、隣にいる彼にそう言われた。
「剣持くんも英語1位おめでとう」
英語と書かれたランキングの1番上には剣持刀也という文字が載っている。私は今まで順位表を確認することは無く、人伝に数学1位おめでとうと聞くので、この貼り紙をじっくりと見たことは無かった。どうせ、数学以外は載ってなかったから。
「英語、今回すごく点数良かったんだよね。剣持くんありがとう」
「僕も空賀のおかげで数学良かったです」
ほら、と彼が指す場所には、8位 剣持刀也 という文字が。
「剣持くん頭の出来がいいから、すんなり理解してくれたし、そんなに教えるとこなかったからね」
「でも、数学が10位以内に載ったのは初めてですよ。ありがとう」
剣持くんは私の方を見て笑う。でも、これで剣持くんの勝ちだね、と私は口に出す。実はテストの前日に2人で賭けをしたのだ。それぞれの教科で順位に載ったので高い方が勝ちというもので。
「私が数学1位、生物9位で、剣持くんが英語1位、数学8位だから」
「勝ったら何でもひとつ、いいんでしたっけ」
「そうだね。もう決めてるの？」
「ええ」
剣持くんはそう言ってスマホの画面を見せる。
「映画、見ませんか？」
スマホの画面には学校から近い映画館で上映されている映画の一覧。
「それでいいの…？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 142人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「2j3j」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蒼井 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/5291025/
作成日時：2023年9月1日 19時
