ブルーベリーナイツ【完】 (ページ27)

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海人side ページ27

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｢…だからさ、もう元太のとこ行きな｣

その言葉を口にした瞬間、胸が痛かった

ずっと見てきて、ずっと好きだった子と
やっと付き合えて、好きになってもらえて。

でもAが元太を思い出してしまうなら、
このラブストーリーは俺が出るとこじゃない

エキストラなんだ。
主人公の女の子が忘れられない元彼のとこに戻る、
ラブストーリーの、脇役。

切ない映画の主人公の親友ポジションのやつは
いっつも傍で支えて、最後は振られる

Aには俺だけを見て欲しかった

俺のことが好きで好きでどうしようもなくなるくらい
好きになって欲しかった

…元太には…勝てないんだな

そんなことを考えながら電車に揺られ、
最寄り駅についた

自分で元太のとこ行きな、なんて言いながら
もしかしたらAは追いかけてきてくれるんじゃないかって、そんな望みが捨てられなかった

1人で家に帰る気にもなれず
人が少なくなったホームのベンチに腰を下ろした

電車が入ってきては人をおろし、次の駅へと発車する

ぼーっとする視界には電車のテールランプと
見慣れたいつもの景色。

……あいつはきっと、元太を選ぶ。

それでいいんだ。

俺は、嫌われ役をやる

…ずっと、ずっと好きだったんだ、A

そんなことを考え続けてしばらく経った

またさっきと同じように電車がホームへと入ってきた

なんとなく、ふと顔を上げると
涙を流しながら、電車からゆっくりと駅のホームへと降りた、ひとりの女の子

……あぁ、これは夢…？

ラブストーリーは俺が…主人公…？

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