第48話 キール ページ49
潜水艦の中で、直美はマリオのリアルタイム映像を見せられていた。
直美「父さん!早く逃げて!!」
直美は、モニターに映る父親に向かって聞こえもしない声をあげる。
そんな直美を見てウォッカは面白そうに笑っていた。
ウォッカ「早いとこ決心はした方がいいぜ?」
直美「父さん!逃げてぇー!!」
悲痛な叫びが室内に響き渡り、父親を呼ぶその叫びがそばで見ていたキールの記憶を呼び覚ます。
キールこと水無玲奈…本名は本堂瑛海。彼女の父親は、娘と同でCIAの諜報員で、組織に潜入していた。
組織に潜入した瑛海の任務は、父親のイーサン・本堂に新しい繋ぎ役の諜報員を紹介することだった。
組織の次の取引場所にイーサンが下見に来ることを知った瑛海は、新しい繋ぎ役を紹介するために、取引場所である横浜の廃倉庫でイーサンと落ち合った。
しかし、新入りである瑛海を見張るために組織がつけたであろう発信機が取り付けられていたのだった。
倉庫の外からエンジン音が聞こえ、娘の正体がバレると思ったイーサンは、瑛海を殴り、さらに銃で瑛海の肩を撃った。
自分の手首を噛み、瑛海の口に血まみれの手首を突っ込むと、持っていた拳銃を自分に向かって握らせる。
イーサン「諦めるなよ、瑛海!待ち続ければ必ず味方が現れる!!俺の代わりに任務を全うしろ!!」
それが、父親の最後の言葉だった。
キール「(父さん……)」
父親の最後の姿を思い出したキールは、拳を握りしめた。

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作者名:エム | 作者ホームページ:http://はありません
作成日時:2024年6月15日 17時