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--- Yoshinori side
末「ちょっとトイレ行ってくるわ。いちごおいといてな！」
「えー」
末「ちょほんまに、おいといてな！？」
「はいはい(笑)」
いちごに必死な誠也くんも、なんやかんや残してあげてるAちゃんも、どっちも可愛くて微笑ましいな。
正「なぁAちゃん」
「んー？」
正「俺さ、…俺は、今でも、……」
「？？」
正「……あれっ？なんやっけ？？」
「えっ？」
正「ははっ、…何言おうとしたか忘れてもうた(笑)」
「え！？そんなことあります？(笑)」
正「また思い出したら言うわ」
「思い出さへんやつやん(笑)」
そう。思い出さへんやつ。そういうことにしとこ。
俺がこの子のことを好きやったのも、今でも好きやと言おうとしたことも、何もかも。
もう思い出さんくてええ。
末「あ！いちごある！」
「ぜんぶ食べていーよ」
末「ええの！？」
「しゃーなしな？」
末「やった！あ、でも」
1番形の綺麗ないちごをフォークにさした誠也くんは、そのままAちゃんの口元へ持っていった。
「え！ありがと！」
誠也くんは何も言わんかったけどAちゃんは全部理解したのか、迷いなく差し出されたいちごを食べた。
正「すごい見せつけられた」
末「恥ずかしいわ」
「自分でやったくせに」
でも不思議と嫌な気は全くせんくて、このまま2人の幸せが続けばええなと思ったし、それを見守っていきたいとも思った。
末「ほんじゃ、帰るわ！ありがとうな」
「ありがとうございました！また来ます！」
正「はいよー、待ってるな。あ、誠也くん」
末「ん？」
正「いや、…王子様、姫を頼みます」
末「ちょもう、王子様はええねんて(笑)」
嬉し恥ずかしそうな誠也くんを見て思わず笑った。
でも誠也くんならきっと、俺の言いたいことは分かってくれたと思う。
振り返って俺に大きく手を振ってくれた後、誠也くんの隣を歩く彼女を、揺れるポニーテールを、見えなくなるまでぼーっと眺める。
角を曲がる手前で2人とも手を振ってくれて、俺もそれに応えた。
はぁ〜と大きいため息をつく。いや、深呼吸か。
どっちかと言うとポジティブな気持ちで、清々しさすら感じた。
誠也くん、いつまでも、Aちゃんだけの王子様でいてあげてな。
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作者名：きうい | 作成日時：2022年5月11日 12時
