わたしだけの ページ38
--- You side
今日はやっと正門くんに会いに行ける。
先週、そういえばまだ報告しに行ってなかったなって気付いて。
じゃあ週末にでも行こかってなって、今日、初めて2人でお店に行く。
末「おつかれー」
「あ、おつかれさま！片付けるからちょっとだけ待って」
席まで迎えに来てくれた誠也はいつもと少し雰囲気が違う気がした。なんやろ、髪型かな。
てか会社で2人で待ち合わせて行くのってなんか新鮮。
「ごめんおまたせ！」
末「ん、ほな行こっか」
フロア内を2人で歩いてるだけで、やっぱり一定数いる末澤ファンの人たちにチラチラ見られる。
「ひぇ〜、すごいな、歩いてるだけでこんな見られるんや。アイドル気分？」
末「アホみたいにポジティブ(笑)」
「そうとでも思わんと怖いんやもん」
末「そうなん？大丈夫やって」
タイミング良く到着したエレベーターに乗り込むと、ガチャガチャと閉めるボタンを連打する誠也。
「めっちゃ押すやん(笑)」
末「はよ閉めな人来そうやったから」
「うわ、乗せてあげへんねや、おケチやん」
末「ちゃうって(笑)」
ちゃうって何がよ、そう突っ込む間もなく、わたしと誠也の影が重なった。
「ちょ、こんなとこで…」
末「誰も見てへんって」
そう言って笑う誠也は、やっぱりいつもより何割か増しでかっこいい気がした。
ビルを出て大通りをしばらく歩いたところで、お店への近道ってことでやや人通りの少ない道に折れる。
もうここなら誰にも見られへんよな。
ポケットに手を突っ込んで隣を歩く誠也の腕にきゅっと絡み付いた。
末「なんや、めずらし」
「なんか今日いちだんとかっこよくない？」
末「え？そう？」
「うん、髪型変えた？」
末「あーたしかに今日いつもと違うセットにはしたな」
「やっぱり！？なんかこう、できる男！って感じ」
末「なんやそれ(笑)」
「とにかくかっこいいんやって、ふふっ」
満更でもなさそうな様子でふっと照れ笑いするその顔が好きで、もっと見たくて、ついストレートに言うてまうねんな。
「こんばんわぁ」
正「お、いらっしゃい！お久しぶりですねえ」
「へへ、なかなか来れんくてすいません」
正「全然全然。あ、2人ともおめでとうさん」
「え？わたし言うてないですよね…？」
正「言うてるようなもんよ(笑)」
「？」
正「だってLINEくれた時『誠也と行きます！』って」
末「ふっ、なるほどね(笑)」
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 740人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きうい | 作成日時：2022年5月11日 12時
