モテ期とでも言わせて ページ34
--- You side
翌朝目が覚めると、もう誠也はいなくなってた。
のそのそと起きて、お水を飲もうと冷蔵庫を開けようとしたところで、扉に貼ってある付箋に気が付いた。
“おはよう！
あまりにも気持ちよさそうに寝てたから起こすのやめた。
また連絡するな。いってきます！”
あっさりした文章。綺麗なんか汚いんか分からん字。
そんな事にまで「好き」を発見する。
でも、トドメをさしたのは最後の一言。
“大好きやで”
え、こういうのするタイプやっけ。
嬉しいけど。
手書きってやっぱり伝わるものが違うのか、活字で送られてくるよりもどこか特別な感じがした。
写真を撮って、メッセージを送る。
Aおはよ! いってらっしゃい!
自分が送った『いってらっしゃい』の文字を見て、欲を言えば起きてお見送りしたかったな〜とか思ってしまった。
まぁ、そのうちそんな日も来るか。
メイクをしながら色んなことを考える。
昨日かなり甘やかしてもらったおかげで寂しさはほとんど消えてて、心の奥がぽかぽかと温かかった。
最初は向こうからのアタックで付き合うに至ったものの、今となっては私の方が好きなんちゃうやろかと思ってた。
でも誠也も同じくらい思ってくれてるんやっていうのがすごく伝わってきて、少しだけ自信が持てた。
見返りを求めてるわけじゃない、それはほんま。
けどやっぱり一方通行やと不安になる。
過去の恋愛ではそこらへんがうまいこといかへんかったんやけど、そんな私の心を解して埋めてくれる誠也はほんまにすごいと思う。
もしかしたら、人生で最後の好きな人かもしれん。
大袈裟って言われそうやけど、本気でそう思った。
「よし！できたー」
ふと思い出して勝手に行くと決めたものの、一応行っても大丈夫かは聞いといた方がええかな。
もうメイクまでしちゃったけど、一応な。
LINEのトークから名前を探し出して、電話をかける。
小『…はい』
「え、テンション低」
小『おまえなんか忘れてるやろ』
「あ、いや、ちゃうねん。多分そのことやねんけどさ、今日行ってもいい？」
小『は？どこに』
「小島くんち」
小『あー、まぁ、ええけど』
「よし！じゃあ14時くらい目指して行くからよろしく！」
機嫌の悪いガチんちょとの電話をぶち切って、さっと着替えて駅に直結してるデパートに向かうことにした。
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作者名：きうい | 作成日時：2022年5月11日 12時
