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--- You side
末「エスプレッソふたつ。砂糖とミルク多めで。」
マスター「かしこまりました」
ほら、もう私が飲みたいものも分かってくれてるしさ。
末「どう？なかなか良くない？」
「うん、結構好きかも。昔ながらのって感じで」
末「ほんま？よかった」
さらっとこういう場所に連れてきてくれるのとかさ。
末「入社してすぐの頃、辛くなったらようここ来とったなぁ」
「へぇ、誠也にもそんな時期があったんやなぁ」
末「あるわ(笑) みんな最初はそんなもんやろ」
「今では敏腕な末澤先輩やけどな(笑)」
末「そりゃどうも(笑)」
こういう話を聞くと、やっぱり人生の先輩でもあるんやなって実感したりさ。
まず、その感じで仕事がめちゃくちゃできるのもずるくない？
“神は二物を与えず” なんか絶対嘘。さすがに五物くらい持ってるやろこの人。
「あー、なんか私分かったわ」
マスター「お待たせいたしました。」
「わ、ありがとうございます」
今日はお砂糖だけじゃなくてミルクも多めにもらって嬉しそうな誠也。
わたしもお砂糖をたっぷり入れた。
末「何が分かったん？」
「さっきの、どこが好きかって話」
なんか改まると恥ずかしいかもしれん。
誠也もちょっとソワソワし始めてるし。
ミルクでだいぶ白くなったエスプレッソを飲みながらも視線は私に向けられたままで、カップを置くと『はよ言うて』と言わんばかりのニヤニヤ顔と前傾姿勢。
「なんか、誠也ってエスプレッソみたいやなって思って。」
末「ん？(笑) どういうこと？」
「エスプレッソってさ、パッと見カップも小さくて可愛いけど、飲むと結構苦いやん。でも味わい深くてあったかくてさ。そういう大人になりたいなって、昔からずっとそう思ってて。」
末「おん」
「やからなんか、私が憧れる大人そのものというか、そもそも人としてかっこいいと思うんよね。そりゃ惹き付けられるよなって。」
末「…なるほどねぇ」
ついベラベラ喋ってしまったけど、視線を逸らしてちょっと耳を赤くしてる様子を見ると、なんとなく分かってくれたんかなと思って安心する。
「まぁそういうこと！恥ずかしいから終わり！(笑)」
末「ふっ(笑) 嬉しかった、ありがとう」
テーブルごしに手を伸ばして頭をわしゃわしゃされて、私いま世界一幸せかも、なんて思ったりした。
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作者名：きうい | 作成日時：2022年5月11日 12時
