大人な彼 ページ13
--- You side
今日はデート。
2回目やけど付き合ってからは初めてやし、少しでも綺麗にしときたくてわざわざ家に寄ってもらった。
誠也がいつもつけてる香水をちょっと使わせてもらったりして。
同じ香りを纏ってるって思うだけで胸がときめいた。
行き先はやっぱりカフェで、今日はエスプレッソが美味しいお店に連れて行ってくれるって言ってた。
運転してる時の横顔はやっぱり綺麗で。
見惚れてると、赤信号で不意にこっちを見た誠也と目が合った。
末「何見てんねん(笑)」
鼻で笑うわりにはにっこにこの笑顔で、最大限に甘やかされてるなって感じる。
なんとなく照れて、誠也の飲みかけのいちごミルクを勝手に飲んだ。
「あま」
末「あ、俺も飲む」
「ん、はい」
止まってる間に、ペットボトルをそのまま差し出す。
末「あま。美味し。」
「おいしいな」
末「間接キスやな」
「なっ、わざわざ言わんでも、」
末「自分から始めたくせに(笑)」
分かっててやったとはいえ、言葉にされると途端に恥ずかしくて、黙っていちごミルクに蓋をして片付けた。
末「Aはさ、」
「うん？」
末「その、俺のどこが好き？」
「え、なに急に」
末「いや、昨日さ、見た目も中身もどうのこうの〜言うてたから、ふと思って」
「あぁ、なるほど…？ なんやろ。んー、上手いこと言えへんけど、とにかくかっこいい、と思う…」
末「全然分からんねんけど(笑)」
いきなりそんなこと聞かれると思ってなくてちょっと戸惑った。
何がって言われると難しいところではあるんやけど、とにかくかっこいい。それはずっと思ってる。
もっと分かりやすく伝えられたらええんやけどなぁ。
カフェに着いて中に入ると、一番奥のソファ席に案内されて、ローテーブルを挟んで向かい合わせに座った。
前に行ったところとはまた違う雰囲気で、もう見るからにコーヒーを売りにしてます！って感じの、落ち着いた大人な空間。
カウンターでは常連らしきおじさま達が控え目にお喋りしてて、その向こうからマスターが出てきてお水とおしぼりを持ってきてくれた。
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作者名：きうい | 作成日時：2022年5月11日 12時
