エスプレッソ、甘めで。(S.S) Ⅰ (ページ15)

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--- Seiya side

昨日の帰り、たまたまAさんと会って、思い切って一緒に帰るかと声をかけた。

俺が話しかけるといつもドギマギしてちょっと身構えるのが分かるけど、この時もそうやった。

なんとなく見える壁を取り除きたくて、できるだけ優しく、柔らかく喋ろうと心がけた。

そして、聞きたいことがあると言ったAさんから色々話を聞いて、どうやら初めて喋った日のアレが原因やったらしいと分かった。

しっかり話したのは初めてやったけど、思ってたよりずっと素朴ないい子で、単純に仲良くなりたいと思った。

何より、他の女性社員たちと違って俺に媚びてこん感じが逆に気になる。

そんなことをぼんやり考えながら、資料作りを進める。

福「末澤さん！」

末「えっ、なに？どしたん？」

福「どしたんちゃいますよ、何回も呼んでんのに…」

末「そやった？ごめん」

福「まぁいいですけど…昨日言ってた資料できたんで確認お願いします」

末「おぉ、早いな、了解」

あかん、あれこれ考えてたら自分の世界に入ってた。

ふと、遠くの席のAさんの方を見ると目が合った。

なに見てんねん、俺もやけど。

心の中で突っ込んだけど、軽く会釈をしてくれてちょっと嬉しかった。

やっぱり昨日話せてよかったなぁと思いつつ、俺も会釈を返した。

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