誤解なんか溶かして ページ13
--- You side
定時なんかとっくに過ぎた19時前。
そろそろ帰ろうかと片付けを始めたけど、隣の小島くんはまだパソコンとにらめっこしてる。
「小島くんまだ終わらん感じ？」
小「うーん、もうちょいかかるなぁ」
「そっか、ほな先帰るな」
小「おん、おつかれ」
「おつかれー」
大晴くんは定時で帰って行ったし今日は一人か、と思いながらエレベーター前に向かったんやけど。
「わっ、すみません！」
誰もおらんと思って歩きスマホしてたもんやから、目の前の人に気付かずぶつかってしまった。
でも、顔を上げると知ってる顔やった。
「あ」
末「びっくりした…怖…」
「ごめんなさい…」
会いたいようで会いたくなかった人。
正門くんから聞いた話をするかどうか迷ってると先にエレベーターが来て、とりあえず黙って乗り込んだ。
少しの沈黙の後、末澤さんが口を開いた。
末「駅まで一緒に行く？」
「え、え？」
末「無理にとは言わんけど」
「いや、えっと、」
戸惑って答えられへんまま1階について、私を横目に半笑いで先に降りていく末澤さんの後を追った。
そして、今しかないかもと思い、話を切り出すことにした。
「あの、聞きたいことがあるんですけど、」
どんな反応をされるかと身構えてしまったけど、どした？と案外柔らかく返してくれる末澤さん。
「正門くんとお友達なんですか？」
末「えっ、そうやけど…なんで知ってんの？」
「大学の時の先輩なんですよ。この前お店行った時にちょっと聞いて」
正門くんから聞いた話、目を付けられてるんじゃないかと思ってたこと、全部そのまま話した。
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作者名：きうい | 作成日時：2022年4月23日 9時
