ご機嫌取り ページ9
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「朔ちゃん、コンビニで新商品出てたからどうぞ」
「僕のは友達が美味いて言うてたやつ」
リハ室に入ると挨拶もそこそこに、みっちーと謙杜がガサガサとビニル袋を差し出してくる。
中を覗くと菓子パンやスナック菓子の新商品。
「えー、めっちゃうれし！……けど、今日てなんかあったっけ？」
実はさっきも流星がお菓子をくれて、丈くんから珈琲を貰った。
どうしてみんな食べ物をくれるんやろうかと、ありがたく受け取りながらも首を傾げる。
誕生日にはまだ早い。
「高橋くんが、朔ちゃんが機嫌悪いって言うてたから」
「ん？」
「いつも通りやったけどな」
なんの事やろ？と首を傾げると丁度やってきた恭平。
おはよぉ、とゆるゆる挨拶されておはよ、と返す。
「きょろちゃんや。なんでみんなにわたしが機嫌悪いなんて言うたん？」
「昨日の帰りになんかむくれてたやん」
「えー、むくれてへん言うたやん。てゆか、みんなわたしが機嫌悪いと思って食べ物くれるってどういうこと？」
「朔は食べてる時めっちゃ機嫌良いからやん？」
「食いしん坊みたいな言われ方！」
心外な、と言い返したらみっちーと謙杜がえ？違うの？みたいな顔をして、恭平がシンガイて何？と聞き返してきた。
トリオー！
まぁ…昨日、上手く踊れなくてもやもやしてたわたしに気を遣ってくれたんやろなぁ。
みんなの気持ちは素直に嬉しい。
「食べ物いっぱいやな。朔、ご機嫌ナナメやったん？」
わたしの前に置かれた食べ物の山を見て大橋くんが笑う。
当たり前のような認識に少しだけ唇を尖らせる。
「大橋くんまで〜？」
「いやいや、いつも１番食べ物で朔ちゃんのご機嫌とってるん大橋くんやん！」
不満そうに声を上げたら謙杜にツッコまれた。
……確かに、大橋くんはいつも一番わたしに食べ物くれてるかも。
「ひゃっひゃっ！せや、始まる前に昨日のとこちょっとやっとく？」
「ありがとう。時間前やのにごめんね？」
「ええねんええねん、自分の練習にもなるし。今日はしっかり身につけてこな？頑張ったらご飯連れてったるで〜」
「ほんまに？やったぁ！」
大橋くんが連れて行ってくれるお店は美味しいから、思わず食い気味に喜んでしまう。
俄然やる気が出てきたわたしは、やっぱり食べ物で簡単に機嫌が良くなるらしい。
道「やっぱり大橋くんが一番餌付けしとる(笑)」
長「えー、大橋くんずるい、僕もご飯連れてって〜」
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作者名：斗和 | 作成日時：2022年9月1日 22時
