寝起きはドッキリ ページ38
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【大西】
「……は？」
目が覚めたのは一番やったみたい。
様子を覗うと隣も起きたようやったから電気をつけてみたら、思わず漏れた第一声は思ったよりも低くなった。
大ちゃんの布団がやけにこんもりしてると思ったら違った。
こんもりして見えたのは、大ちゃんのすぐ横にぴったりと寄り添うようにして眠っている
朔ちゃんだった。
掛け布団こそそれぞれのものだけど、朔ちゃんの体はほぼ大ちゃんの布団の上。
小さく丸くなっている朔ちゃんは、大ちゃんの手を両手で確りと握りしめてすやすやと眠っている。
安心しきった様子で眠る顔は、いつもより幼くてかわいい。
その朔ちゃんを、ついさっきまで大ちゃんは……
西畑「……ちゃうやん、手ぇ繋いでるだけ。手ぇ繋いでるだけですよ」
「…何がちゃうん？俺、なんも言うてへんけど？なんで朔ちゃんが大ちゃんの布団に居て大ちゃんの手を握りしめててその朔ちゃんを大ちゃんが抱きしめて寝てたのかなんてなんも言うてへんけど」
西畑「…だ…っ、き、しめ……て、ましたね……、けど、それ以上はほんまに何もしてへんし、ちょっとだけ危ない瞬間はあったけど無防備に寝てるから逆に何もできへんていうか…ッげふん、
…ほんまに誓ってなんもしてへん───て、…りゅうせ？浮気を問い詰める奥さんみたいな迫力あんねんけど…？」
「はぁ？！」
西畑「…すみませんでした」
そっと自分の手から朔ちゃんの手を離して、大ちゃんは畳の上で綺麗に土下座をした。
これじゃあほんまに、旦那の浮気現場を抑えた奥さんみたいやん。
別に怒ってへんし、謝ってもらう理由ないねんけど…
いやいや皆が寝てる同じ部屋で、ほんまに朔ちゃんに手ぇ出してたらみんなでボコボコにしてるところやけどな！
いい加減誰か起きそうな気配がして、スタッフさんからの指示が書かれた紙を大ちゃんに見せる。
「…みんなを起こしてこ」
西畑「…リーダー見に行く？」
脱衣所に顔を向けて立ち上がる大ちゃんは、一人だけ寝袋やった大橋くんがほんまは気になってたんやろうなって思ったら、思わず笑ってしまった。
そんな俺を見て、少しほっとした様子。
ぽんぽんって優しい手が俺の頭に触れて、行こか〜って脱衣所へ向かった。
ほんまはちょっとだけ、胸の奥に燻ってたもやもやがすっと晴れた気がして。
なんや、俺…拗ねてたんかも…
「俺も、拗らせてるなぁ…」
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作者名：斗和 | 作成日時：2022年9月1日 22時
