2 ページ37
.
西畑「こっち空きすぎちゃう？」
「………そんなこたぁござーせんよ」
西畑「いや、誰？！謙杜が狭いやろ」
長尾「僕は全然大丈夫やで。いっそこっち入る？」
だいちゃんと謙杜の間で、気持ち謙杜寄りに寝転がっていると、子供のように拗ねた気配を感じた。
謙杜が掛け布団を軽く持ち上げて、おいでおいでと嬉しそうに招く。
「謙杜のお布団入ったら蹴飛ばされそうやから遠慮しとく」
長尾「蹴飛ばさへんて〜」
西畑「せやったらもっとこっちおいで朔。だいちゃんと一緒のほうが安心して眠れるやろ？」
「………」
西畑「なんで沈黙すんねん」
大西「大ちゃんと一緒のほうが安心できへんってことやろ」
西畑「おい、どういう意味や(笑)」
「ふふ、もうええから寝ようやぁ。寝顔ブスやから誰も見ぃひんといて！」
布団の真ん中に寝直して。
がばっと掛け布団を頭までかぶって、おやすみっと告げると皆も寝に入ったのかごそごそ動く気配だけがした。
暫くそのままでいたけど、なんだか寝付けない。
みんなで同じ部屋(大橋くんごめん)で眠るなんて、修学旅行みたいやなぁっていうドキドキと。
隣との布団の距離が近すぎて、また違う意味でのドキドキと。
こそっと布団から顔を出す。
謙杜は眠ってしまったみたいで、幼い寝顔が可愛くて思わず笑みが溢れた。
しばらく眺めていると、ほっこりと和む。
口元が緩んだまま反対側に顔を向けると、予想外にこちらを見ていただいちゃんと目が合った。
驚きにちょっとだけ肩が跳ねたけど、声を出さなかったのは褒めてほしい。
「…ま…、だ、起きてたん？」
西畑「……──今日は、」
少しだけ身を寄せてこそこそと声を潜めて問いかけると、真っ直ぐにこちらを見つめたまま小さな声が聴こえてきたから、ぅん？と続きを促す。
西畑「俺がキングで、ご褒美が貰える日やろ…？」
差し出された、男の人にしては白くて細いキレイな手を見つめる。
それは、
ご褒美に、手を握ってほしいって、こと？
ちょっと迷ってからそっと手を重ねると、指の間を擽るように滑らせて甘えるようにきゅ、と握られる。
所謂、恋人繋ぎで。
か……っ、
かわいすぎる…っ！！
胸の奥がきゅんとして、暴れ出したい衝動に震えていると握られた手を引かれた。
油断もあってもう少しだけ距離が近づく。
西畑「朝までこのまま。離したらあかんで」
囁くような声に甘い響きを感じて、逃げるように思わず強く目を瞑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 507人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：斗和 | 作成日時：2022年9月1日 22時
