ただいま ページ3
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3週間程実家での休養をしたわたしは、マネージャーさんにお願いをして車に乗せてもらっている。
本当はもう少し休んだほうが良い、という事務所の意向よりも早く復帰を決めたから。
大倉くんにも相談はさせてもらって。
身体的には健康そのものだとしても、急に今まで通りにしようとは思わないこと。
少しずつでいいし、勿論絶対に無理はしないこと、という約束をした。
直接みんなに報告をしたくて、打ち合わせで集まるという大阪の事務所に向かっている。
今日行くことは誰にも言ってなくて。
ちょっとしたドッキリ感があってドキドキしてくる。
「はぁ〜…なんか緊張してきた…」
「藤原か西畑だけにでも言うといたら良かったのに」
「うんー、それも思ったんですけど、なんて言うたらええか悩んでたらなんか言いそびれて…」
変なとこ悩みすぎ、とマネージャーさんに笑い飛ばされた。
そうこうしてる間に目的地に着いてしまい、あの部屋だから、と会議室のひとつを示すとマネージャーさんは別の仕事に行ってしまった。
なんか心細い。
そっと扉に耳を寄せると、中から賑やかな声が聞こえてくる。
きっとまた他愛もない話で盛り上がっているんやなって思ったら、それだけできゅんきゅんする。
扉前で室内の妄想してときめくオタクやばない？
わたしのことやけどな！
「朔ちゃん…？」
「ひょえ…っ…」
もたもたしてると背後から声をかけられ、挙動不審に振り返ると謙杜が立っていた。
本当はわたしがサプライズ的に登場するはずやったのに、逆にドッキリさせられて笑って誤魔化す。
「えっと、あの……久し、」
ぎゅっ、と強く抱き付かれて直ぐ後ろの扉にぶつかる。
背中に回された謙杜の腕のおかげで、ぶつかった痛みはない。
けど、小さい子供がしがみつくようにさらに強くなった腕の力が、少し苦しくてポンポンと背中を叩く。
「謙杜、」
「僕が…、…あの日、僕が無理にでも一緒に帰ってたら、朔ちゃんに怖い思いなんかさせへんかったのに…ごめん…」
吐き出すような声に、胸が苦しくなった。
もしかして、今日までずっとそんなことを思って自分を責めてたんやろうか。
わたしの勝手な行動のせいで、苦しめてしまってたんやろうか。
傷つけたくなくて。
巻き込みたくなかっただけやのに…結局傷つけてしまった…。
謙杜の背中に両手を回してぎゅっと抱きしめる。
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作者名：斗和 | 作成日時：2022年9月1日 22時
