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可愛らしいレース。清楚な色彩。露出度の高めなデザイン。
嫌になるほど甘ったるい声と笑顔を振りまく私は、その実とても不機嫌だった。
数週間前から全く連絡の取れない男_____
太宰治のせいで。
正直、来なくなってから数日は気にも止めなかった。
寧ろ久々の平和を噛み締め味わい寛いでいた。
しかし1週間程も経てば流石の私も心配になる
それは昔どこかで耳にした噂のせいでもあったし、突然1週間も放置してきたりましてや私の前から消えたりなどしないだろうという少しの自惚れのせいでもあった。
まぁ太宰くんだから?流石に死んではいないと思うけれど、何かあったのではないかと思ったら落ち着けはしなかった。
それは随分と不快で耐えられそうにもなくて、
私は無駄に数の多い知人の中から役に立ってくれそうな数人を頼ることにした。
そうしたら
「その男なら川を流れていたよ」
「喫茶店で首を吊ってた」
「長身の男に怒られていた」
等々の碌でもない情報が大量に集まった。
彼らの職業からして情報は正確な筈だ。
でも、じゃあ何故連絡がつかないのか。
家に押しかけて来ないのは兎も角、突然連絡がつかなくる理由が分からない。
考えられるのは...飽きられたか。
自由人の太宰くんだ。大いに有り得るだろう。
そこ迄考えてため息をついた。
本当に飽きられたのだとしたら私はきっともう二度と太宰くんには会えない。
そもそも、私達は恋人でも無ければ友達になろうとも言っていない。
関係性に名前を付けるなら──距離の近いただの知り合いだ。
それでも少し仲良く慣れたと思っていた。
一緒にいて楽しかった。
──────それは私だけだったのかしら?
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作者名:とと | 作成日時:2019年9月10日 19時