桃色の声は迷わせる1-7 ページ3
一日では到底辿り着けない。今のところ罠という罠も見ていないが、念の為というのは大事だ。壁や床を叩き、空洞がないか確認し、周りの音で罠が無いかを確認する……
『…この近くにはないと思う。』
「やな……じゃー、ここで寝るかあ。」
そう言いながら緑は床に大の字で寝転がった。とりあえずいつでも動ける様に…と、壁に背を預けて目を閉じる。
何も音がしない。静かな所だ……。
「なー」
『何？』
緑の声に返事をする。近くで人の気配を感じて目を開けると、気づけば緑は私の隣に座っていた。
「兵の国って……どんなんやった？」
その言葉に思わず身体が強ばるのを感じた。目を伏せ、思い返すと身体がズキズキと痛むような気もする。
…………クソッタレな所だ。
『……嫌な所だよ。』
そう答えるしかないのだ。
再び目を閉じれば、緑はそれ以上を問うてこない。軽いノリの男だが、彼は存外真面目ないい人なのかもしれない。
暫く続く沈黙が、あの時の施設を思い返してしまい、身体が震えてしまう。嗚呼、いけないな……。もう昔の事なのに。
そんな私に気付いたのだろう。緑は口を開き「俺さ……」と呟く
「1度だけピザって料理を食べた事あんねん」
「特注だって言われて。お、ええやん！って思って買った銃があってな？引き金を引いたら弾じゃなくて旗が出てきた」
「ここよりももうちょい先だったかな。面白い嘘つきがおんねん」
緑は話が尽きることがないのか、1つ終わればまた次と、どんどん出てくる。
けれど今はそれがとても居心地が良い。
続く (更新停止中)
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きむち鍋(プロフ) - やかんさん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです！励みになります。相変わらず亀並みの更新速度ですが完結は目標に少しづつ頑張っていこうと思います。 (2020年12月30日 19時) (
レス) id: 4e029fbece (このIDを非表示/違反報告)
やかん(プロフ) - 続編おめでとうございます！前作からずっと拝見していましたが、話の内容がとても好みで更新を楽しみに待ってました！これからも頑張ってください！ (2020年12月30日 0時) (レス) id: eb0fc02de0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きむち鍋 | 作成日時：2020年12月30日 0時
