75話 ページ27
ポカンとした顔を浮かべる私に国永は続けた。
「駄目か？ …演練でそっちの俺に抱きついていただろう」
「……あぁ。まぁ、はい、そうですね。」
なんとも言えない表情で返事をしながら
思い返す。
あの時は嬉しさのあまり勢いで抱きついてしまったが、あの時の鶴丸さんの反応といい後悔が募る出来事である。
あまり掘り返されたくはない。
それに、ここはゲートの付近である為、
役人だっているのだ。
私の頭はもう逃避寸前だった。
しかし、国永は冗談を言っているようには見えない。…どうしよう。
困った私は 助けてくれ、と期待を込めて
少し離れた場所に佇んでいた先輩審神者と主様に視線を送った。
主様は頬に手を当てて目を瞬かせていた。
心なしか瞳が輝いている。
目で訴えると 逆に期待を込められた瞳を返された。
……楽しんでいらっしゃる。
隣の先輩審神者様とも目が合うが彼も
止めようとする素振りは見せず、むしろ深く頷いて親指を立てた。
いやいや。貴方の刀じゃないですか！
止めくださいよ！
「えっと……」
「駄目か？」
「いや、駄目ってわけではないんですけど…」
何故こうなったのか理由がさっぱり分からない。
でも、国永を突き放すような事はしたくないので、私は腹をくくることにした。
こういうのは、変に意識した方が負けなのだ。
少し恥ずかしいが、まぁハグくらいなら
問題ないだろう。
コホンと私は咳払いをして、
「じゃ、じゃあ、いきます」
と、言った。
すると国永は腕を広げる。
…突進する猪にでもなった気分だ。
私も腕を広げて抱きつこうとした。
その瞬間、バッと国永が目を見開いて
広げていた私の片腕を掴んで自分の方へ
引っ張った。
当然、私はバランスを崩して前のめりになる。
国永の胸元が目の前に迫り、ぶつかる と咄嗟に目をつぶったら 今度は掴まれていなかった反対の片腕を思いっきり引っ張られてグイッと頭が国永から離れた。
「…え」
両腕を前と後ろ両方から引かれたことで
私の態勢は直ったものの、頭は現状を理解出来ていない。
両腕に伝わる圧迫。
一体何だと、後ろ振り向き視界に入る白に
私は完全に石化した。
「何の用だ。腕を離せ。」
「それはこっちの台詞だ。」
………。
白に挟まれる私はまるでサンドウィッチの具のようだ。金髪の私が真ん中なら
これは鶴丸サンドではなく、卵サンドだな！
と、馬鹿なことを思い浮かべて
私は天を仰いだ。
何だこれ。
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華音(プロフ) - 初めまして、刀剣乱舞大好きで一通り読ませて頂きました♪泣いたり笑ったりとても楽しかったです。ただ所々ですが誤字脱字やヒロインの名前が変換されてない個所が全体的に多かったので^^;ご報告させて頂きますね。 (2022年1月15日 14時) (
レス) @page43 id: 85eea2d6ee (このIDを非表示/違反報告)
杏子メロンパン(プロフ) - こだぬきさん» 本当にありがとうございます。以前のコメントもとても励みになりました。感謝の気持ちでいっぱいです。 (2019年8月15日 9時) (レス) id: 590e18d332 (このIDを非表示/違反報告)
杏子メロンパン(プロフ) - 藍花さん» ありがとうございます。楽しんで頂けたのなら何よりです、 (2019年8月15日 8時) (レス) id: 590e18d332 (このIDを非表示/違反報告)
杏子メロンパン(プロフ) - anao10さん» そう言ってもらえて嬉しいです。私も鶴丸対決は書いてて楽しかったです。 新作も書きました、是非興味があれば読んでみて下さい。 (2019年8月15日 7時) (レス) id: 590e18d332 (このIDを非表示/違反報告)
杏子メロンパン(プロフ) - 椿さん» コメントありがとうございます！その後の話はもう書いてあるので、また載せていこうと思います！ (2019年8月15日 7時) (レス) id: 590e18d332 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杏子メロンパン | 作成日時：2019年6月25日 18時
