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大我side
大我「優理香とは離婚します。」
俺は両親の目を真っ直ぐに見て言った。
両親は驚いたように目をかっぴらく。
父「なんで……お前、」
大我「俺はもう決めたから。」
父「ふざけるな！！許されるとでも思ってんのか！！」
父は案の定大激怒だった。
でも俺は、なにを言われようが決心は揺るがない。
大我「……俺はこれ以上あの女に振り回されるのは耐えられない。二度と御免だから。」
父「今離婚をすれば会社の関係が悪くなるだろうが！！」
大我「それは父さんたちの意見だろ？俺には俺の意見がある。」
俺は冷たい表情でそう言い放った。
Aの家に北斗と一緒に逃げ込み、一緒に暮らすと決まった時。
Aが北斗をあやしていると、俺のスマホに着信があった。
宛名は、俺の家にいるお手伝いさんみたいな人からだった。
両親やあの女じゃないだけましだ。
俺は少しためらった後に、しぶしぶ電話に出た。
大我「……もしもし」
『もしもし！！大我坊ちゃん今どちらにいられますか！！』
電話に出た途端、耳を貫くような大声。
俺は思わずスマホから耳を離した。
大我「……なんだ、なんかあったのか。」
『そんな呑気に仰ってる場合じゃございません！！北斗様がいなくなったんです！！坊ちゃまなにか知らないでしょうか！！』
どうやら、北斗が消えたんで大騒ぎになってるらしい。
大我「……北斗は俺と一緒にいる。」
『え！？ぼ、坊ちゃまいまどちらに……』
大我「皆に伝えてくれ。……俺は優理香と離婚する。家とも縁を切る。以上。」
『え？ちょ、お坊ちゃま？坊ちゃま――』
俺はプツンと電話を切ると、スマホの電源を切る。
「……大我、大丈夫？」
Aが心配そうに俺の顔を見る。
大丈夫だよ、と俺は微笑んで見せる。
あーあ、めんどくせぇ。
権力とか会社とかお金とかマジでどうでもいい。
俺はAと一緒にいられたら。
北斗をちゃんと育てられたら。
それだけでいいんだ。
始めから両親の言うことなんか無視して、
Aの傍に居ればよかった。
「北斗〜いい子ね〜」
北斗「うきゃ！！」
Aが北斗を抱っこして笑わせて、北斗は楽しそうに笑っている。
……幸せな光景。
俺は、ずっとこんな景色が見たかった。
何気ない家庭の何気ない幸せを感じたかったんだ。
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作者名：すのうHIINA | 作成日時：2023年3月21日 21時
