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薔薇のアーチの奥にあったイスに腰をかけ、リョウタの作ってくれたクッキーと紅茶をテーブルの上に置いた。
リョウヘイさんが持ってきてくれたんだけど、去り際に小さい声で“ジャスティス...。”って呟いてたのはスルーしておく。
「うわっ！クッキーうまっ！｣
赤「よかった。ショウタの好きそうな味で作ったんだよ。｣
「リョウタ天才...。｣
...いいな、こうやって好きな人と綺麗な花達に囲まれながらお茶をするの。
心地いいそよ風も吹いて、とても気持ちいい。
...あ、そうだ、リョウタにずっと気になっていることを聞かなきゃ。
「ねぇ、リョウタ。｣
赤「ん？どうしたの？｣
「...あいつのこと、言うんだよね？王様に。そしたら、どうなるの？｣
ただ言うだけならなんにもないけど、その後だよな。
国の王様を怒らせてしまったら、あいつはどうなるのだろう。
別に、情が湧いた訳では無いけど、単純に興味が湧いてしまったから。
赤「...なんとも言えないな。死罪になることはないけれど、国を追放されるか、今の立場を追われるかのどちらかだね。｣
「追放...なんだ。｣
赤「まぁ、あいつからしてみたら追放も死罪と同じくらいだと思うけど。今まで、名誉と金が溢れるくらいあったのだから、何もかも失った生活は死も同然だよ。｣
確かにそうだ。
お金持ちって、いきなり財産を失うと死んだも同然になる。
今までものすごく贅沢な生活をしていたから、庶民と同じ生活をするのはとても難しいだろう。
だとしたら、俺はまだよかったのかもしれない。
攫ってもらった先がお金持ちの王国だからという訳ではなくて、お金に興味がなかったから。
表上では、いい服を着て、豪華な料理を食べていたけど、裏では質素な部屋に安めのベッドに質素なご飯。
まだリョウタがいた頃は毎日美味しい料理が食べれたけど、いなくなってからは食事より勉強と言ってろくに食べさせてくれなかった。
そんな生活をずっと送っていたから、賛否両論はあると思うけど苦労はしないのかなって思う。
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作者名：名のない納棺師 | 作成日時：2021年5月24日 19時
